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さとう社会問題研究所コラム

友人が生活保護についてブログ記事を書いたようで、
>思ったより、最低生活費が高額な気がする…
との事でしたので、検討してみたいと思います。

ちなみに、私はカウンセラーが仕事ですが、大学院での専攻は租税法や社会保障分野の法政策でした。

生活保護費が高いのではなく、私は、むしろ年金や賃金が低すぎるのだと思います。

最低賃金を800円とした場合、8時間労働で6400円、週休2日で22日働いた場合、140,800円になります。
しかし、月収14万円は年収168万円です。
働いても満足に生活ができないワーキングプアと呼ばれる水準が年収200万とされております。

給与所得の課税最低限が、基礎控除とあわせて103万円です。
当然、こういう方たちも所得税を源泉徴収されております。

最近、生活保護受給者が200万人を超えた大阪市についても、「生活保護を脱せない若者」として報道があります。
社会的にも、「高額な生活保護費」という側面と、それに「甘えている若者」という批判的な受け止め方が多いと思います。
しかし、フルタイムで働いても、生活保護でも同じような金額であれば、生活保護を受け続けるという選択をすることは、むしろ、当然のことと思います。

「経済学」や「経営学」の考えでは、「効率的に利益を上げる」という「合理的な選択」と考える事が適切になります。
「汗水」や「苦労」というものに、経済的、経営学的な価値はありません。 経営学は「企業の利益」は考えの対象になりますが、その結果の社会的な影響などは観測の対象外です。
むしろ、「いかに費用をかけず、収益を上げるか」ということが重視されます。「費用」こそが、経営上の苦労に該当するはずです。
大学で経営学や経済学を学んでいて、社会的にも受け入れられている事なら、若者が同じ理論で考えて実践しているだけと考える事が、むしろ当然のことと思います。

そして、私もコンサルタントとして、このようにも考える事ができると思います。
近年、「経営の合理化」と称して、まずは「人件費の切り下げ」が行われ、それは、リストラという形で行われます。
社会には仕事が無く、仕事を失えば生活保護しかありません。せっかく仕事を見つけても、生活保護と同程度なら、わざわざ、働くことは合理的な選択肢ではない。

そこで、「人件費を生活保護費に付け替える」というリストラ策も有効になります。
たとえば、50代の勤労者、月収50万円、年収800万円の方がいると考えてみます。家族は配偶者(40代)、子供2人(2人とも10代後半)がいるとします。
この方をリストラした場合、企業は800万円と厚生年金保険料の半額や労災保険料などの諸経費もリストラできます。
その分、その企業では、人を減らすなり、安い労働力に替えることで、確実に人件費を減らすことができます。(もちろん、早期退職の負担がありますが)

そして、この方は生活保護制度を利用することになります。
計算してみたのですが、21万円弱の保護費となり、年間の保護費は250万円になります。これは税金からの社会的な負担となります。
この方の場合、生活保護を受給することで、社会的には550万円のリストラ、厳密には、厚生年金保険料の半額や労災保険料などの諸経費も軽減されています。
そのため、経済学的には、リストラをして生活保護を支給することは社会的に合理的な選択と考える事ができます。

重要な事は、その社会的に合理的な選択の利益を受けているのがリストラをした企業だけで、その費用を支払っているのが、その企業とは無関係の一般市民という事だと思います。

みなさんは、どう思われますか?


2012年3月23日 著作物です。無断転用は禁止します。 さとうかずや(さとう社会問題研究所)


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