さとう社会問題研究所コラム

東日本大震災から3年が過ぎました。

いろいろな事があり、なかなか、触れる事ができませんでした。

先日の面談、私も経験した阪神大震災の事を話題にしていて、相手の方も、その記憶が風化してしまっていると仰っていました。

お互いに、大阪で被災したからかも知れませんが、それにしても衝撃的なお言葉でした。


私は、法政策の研究をしていたこともあり、復興政策への疑問もありましたが、住民税や所得税の増税までして確保した復興予算が留学生やら刑務所やら、沖縄県の道路に使われていた辺りから、触れたくないほど、復興政策には失望していました。

2014年4月より、国としては、経済界のご要望、法人税の優遇のため、その減税分の転嫁を消費税増税で始めましたが、このニュースに対する被災地の反応でも、「被災者の生活がより困難になる」「被害地切捨て」と言われていますが、まったく気にも掛けていません。(注)


先月も、ネットニュースにある震災関連の記事を見ていると、被害地の復興も進んでいない、その上、被災者の心の問題、うつなどの疾患の拡大が、当初から、「心の復興を最優先とすべし」と訴えてきた者として、余計に頭の痛い事態となっていることが改めて浮き彫りとなっていました。

福島県の原子力災害の被災者さんも、東京電力からの賠償の話が遅れているようで、当研究所でも対応している「訴訟のストレス」が高まっていると思います。


こういう時、一番良くないストレスへの対処法は、「酒を飲むこと」や「食べること」です。

アルコール依存や摂食障害など、心の問題に起因する症状から、糖尿病などの生活習慣病にもなりやすくなります。


では、こういう時、どういう政策による被災者支援が望ましいのでしょう?

こういう時、国の支援策としては、単純に金銭だけを配布する方法は適切ではないです。

この考え方は、「金銭による支援をしない」言い訳にも使われていることですが、、十分な生活資金の確保は、必要なことです。

問題は、生活資金の支給方法などの工夫なので、ネット記事で取り上げられているような、「毎日酒ばかり飲んで辛さを忘れる生活」にならないよう、何かしらの労働、この場合、地域内での仕事があればと思います。

仕事が無ければ作れば良いわけですし、生活資金と労働対価が多少不釣合いでも、「何もしないで金だけ貰う」「働かない者食うべからず」よりは、生活の質が良くなると思います。


また、東北地方は、震災後の地下の下落もあり、企業誘致も増えている所もあるようです。

昨年辺りから、人件費抑制目当ての中国から、政情を背景に撤退する企業もあるそうで、再び日本国内に戻ってくる企業の再配置にも、個人的には期待をしています。

被災者にまで増税をする以上、ただ、生活資金を吸い上げるだけでは復興などできる訳がありません。

国としては、この企業の再配置を、より被災地復興と日本経済再生のための礎となるよう、配慮していただければと思います。


注:消費税の増税は、社会保障に充てるという名目で行われています。しかしながら、2014年度の消費税増税による税の増収見込みは8兆円、その内、1兆円のみが社会保障に使われる見込みで、残り7兆円はそれ以外に使われる事になりそうという情報があります。


2014年4月10日 著作物です。無断転用は禁止します。 さとうかずや(さとう社会問題研究所)


これまでのコラムを読む