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さとう社会問題研究所コラム

日常的な暴力と殺意の否定の矛盾―パワハラ・体罰との共通点


今回は、日常的な暴力に関するネットの記事のご紹介です。

日常から繰り返して行われる暴力は、対人関係における、ある種のシステムのようなものに変容していきます。

具体的には、DVや虐待、イジメなどでも見られる、加害者と被害者の支配従属関係の構築です。

また、日常から繰り返し行われる暴力には、感覚や思考の鈍麻を引き起こし、たとえば、イジメなどのケースでも、「加害者にとっては何とも感じない、遊びのような感覚」を覚えていく事があるそうです。

これまで、教育現場や部活での体罰、職場でのパワーハラスメントなど、「伝統」や「文化」、「教育」や「指導」と称して行われてきた日常的な暴力でも、支配従属関係の構築や加害者の感覚や思考の鈍麻などがあるように思えます。


今回紹介する記事では、日常的な暴力があったため、殺意の認定が難しいと判断されたようです。

これも、日常的な暴力が、「暴力の最終段階が死である事」に対する認識を失わせてしまったのだと思います。

ただ、私は、こういう場合に殺意が否認されるのは、刑法上、故意と過失との中間にある「未必の故意」の観点からも疑問を覚えます。


特に、この事件では、「娘さんの自殺」により、一度事件が終わってしまっていた事が問題だと考えています。

これは、単純な警察批判ではないです。

父親は、一度、娘を自殺に見せかけたことで、罪を免れる事ができ、命を奪われたことで物言う事ができなくなった娘さんは、泣き寝入りを強いられてしまった事になります。

被害者が泣き寝入りを強いられることで、加害行為が正当化され、被害者だけが一生苦しみ続けるケースを、私が多くうかがっているための問題提起です。


虐待、イジメ、パワハラなど、日常的な暴力でも自殺や死亡に至るケースがあります。

また、被害者が死に至らないケース、加害者にとってはゲーム感覚のイジメ、教育と称したパワハラ、躾と称した虐待など、閉鎖的な世界の中で始まり、社会に公表されないまま終わるようなケースであっても、被害者の記憶として残り、苦しめ続けます。

その苦しみが一定の水準を超えた方は、アダルトチルドレンや精神疾患、人格障害、その他の社会生活における支障となり、被害者には一生の苦しみとなって付き纏うものです。

そして、とても悲しいことに、臨床心理学を学んだカウンセラーのような方であっても、そういう被害者の苦しみを「逃げ」や「甘え」、「人生や心の歪み」などと断罪し、暴言を吐くケースがあります。

こういう暴力が、死に至るものであるという社会的認識と、それに反対する事こそが、社会の中にある暴力やハラスメントの根絶につながると考え、ご相談に応じ、社会に訴え続けています。


「自殺」再捜査で「傷害致死」 3年前、愛媛県警が死亡女性の父親逮捕

(2014.6.11、記事全文)

 愛媛県四国中央市で平成23年4月、自殺したとされていた無職の女性=当時(26)=が、再捜査の結果、首を絞められて死亡していたことがわかり、愛媛県警は11日、傷害致死容疑で女性の父親で同市中之庄町の無職、八木橋喜美男被告(59)=別の傷害罪で公判中=を再逮捕した。女性の死について今年1月、「自殺ではない」との情報が寄せられ、県警が再捜査していた。県警は認否を明らかにしていない。

 県警によると、女性は八木橋容疑者の長女で知的障害があった。死亡当時、八木橋容疑者ら家族は「娘が廊下で首をつっていた」などと話していたため、県警は自殺と判断し、司法解剖を実施していなかった。

 再逮捕容疑は23年4月13日午後、自宅で長女の首をロープのようなもので絞め、翌14日に搬送先の病院で死亡させたとしている。

 長女は22〜23年にけがをした状態で2度保護され、病院などから県警に対し、長女が虐待を受けていた疑いがあるとの情報も2件寄せられていたという。県警は、八木橋容疑者が日常的に暴力をふるっていたとみており、今回のケースも殺意はなかったと判断した。

 県警の岸田文昭捜査1課長は「犯罪死を見逃した点については大変遺憾と考えており、適正な検視業務の推進などで再発防止に全力を尽くしたい」とコメントした。



2014年6月12日 著作物です。無断転用は禁止します。 さとうかずや(さとう社会問題研究所)


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