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さとう社会問題研究所コラム

今回は、ユニセフが発表した「子どもに対する暴力や虐待による経済的損失の試算」に関するネットニュースの記事のご紹介です。


私は、虐待について、経済的虐待と精神的虐待の恐ろしさを強調してきました。

まず、経済的虐待は、経済不安により相手を精神的に苦しめる虐待と言う意味で、精神的虐待と同義です。

私は、虐待と貧困の解決を目指し、この事業を立ち上げましたが、多くの方が、貧困がもたらす社会的危機を軽視している実態に危機感を募らせ続けています。

現在の国の経済政策や経済界の在り様も、格差拡大と国民の総貧困化、その上、、「貧しい者は自殺すれば良い」とまで言う不見識な高学歴な専門家もいて、今なお、社会的な経済的虐待が国の政策として行われているという実態があります。


そして、今回のテーマである精神的虐待について、私が相談を受けているハラスメントやDVの事案では、身体的、性的な虐待よりも、経済的、精神的虐待の方が圧倒的に多いです。

その理由は、「加害者が精神的、経済的な暴力を暴力と認識できない」という事によります。

つまり、身体的、性的な暴力に比べ、精神的、経済的な暴力の方が否認が強く第三者による介入も難しいという事です。

以前に受けたパワハラに関する事案でも、「暴言があったとしても、暴力を振るった訳ではないからパワハラではない」と、反論されていたようです。

日本有数の大企業らしく、顧問弁護士の言い分だったようです。

これは、日本弁護士会連合会と日弁連会長を代表したご意見だったのでしょうかね?


この、経済的、精神的な暴力が本当に恐ろしいのは、「形のない事」です。

多くの方は、この、「形のない事」を軽視しています。

本来、最も価値あるものには、形のないものが多いです。

たとえば、経済的に最も価値あるものは「時間」だと言われています。

「時計」ではなく時間です。

あと、「金」です。

あれは、硬貨や紙幣、そのものに価値があるのではなく、「交換能力」に価値があります。

「物」としての価値でいうと、一番価値ある金は1円玉(アルミ)で、価値のない物は1万円札(紙切れ)になるはずです。

最後に、「関係性」でしょうか。愛や友情、信頼などですね。

残念ながら、私には、これが理解できないのですが、金では買えないものですし、失った時の喪失感は大きいようです。

いつも、こういうお話をうかがっているので、みなさん、大変だと思います。


では、「形のない事の価値」をご理解いただいた上で、経済的、精神的な暴力の「形のない事の恐ろしさ」についてご説明します。

まず、経済的、精神的な暴力の代表は「暴言」です。

「言葉の暴力」とも言われますが、あまり、暴力として受け止められる事もないようです。

ただ、言葉の恐ろしい所は、「心を直接攻撃できる事」

その上で、「いつまで経っても傷が癒えない」という事にあります。

たとえば、身体的な暴力は、当たらなければ痛くもかゆくもありません。

刑法で「未遂」と言われ、軽も軽く扱われるのは、「実際には被害が無かった、本来予想されるものよりも軽かったから」です。

それに比べ、「言葉」は、口から出た瞬間、相手の心を直接攻撃できます。

そして、言われた方は、その言葉が記憶に残る限り、たとえ、その言葉を忘れられたとしても、「その時」「その場面」「その相手」、それらが消えない以上、いつまでも、反復して思い出し続け、苦しめられ続ける事になります。

要するに、「言葉の暴力」とは、トラウマ体験そのものであり、記憶の限り再体験やフラッシュバックを繰り返すという事です。


トラウマ体験、PTSDなどと呼ばれるものは、特別な災害だけではなく、日常の何気ない場面でも起こるのは、アメリカが診断基準を見直した事でも知られている事です。

今回、ユニセフが発表した子供への暴力の中でも、最も経済的損失が大きいと試算されたのも、私が訴え続けている、精神的な暴力、つまりは、暴言や言葉の暴力と呼ばれるものの恐ろしさを公的に証明するものだと考えています。


子供への暴力による経済的損失は2,090億ドル - 東アジア・太平洋、GDPの2%


ユニセフ(国連児童基金)は2日、子どもに対する暴力や虐待による経済的損失の試算が、東アジア・太平洋地域の国々で年間2,090億ドル(地域全体のGDPの2%)に上ると発表した。

○暴力・虐待のうち、最大損失は「精神的虐待」の659億ドル

暴力・虐待の5つの形態について、精神的健康、身体的健康、生活・行動面への影響等を分析した。その結果、地域全体の経済的損失は、「精神的虐待」が最高額で659億ドル。次いで、「性的虐待」(399億ドル)、「身体的虐待」(396億ドル)、「ネグレクト」(324億ドル)、「家庭内での暴力の目撃」(310億ドル)という結果となった。

子供への暴力・虐待は、同地域において、国の所得レベルに関わらず起きている。例えば、14%〜37%の子どもが、少なくとも1つの形態の暴力・虐待を経験している。高所得国では、女性の42%が精神的虐待を経験。また男性の32%が家庭内暴力を目撃している。

また、経済的損失では、低所得国の男性の精神疾患のうち、25%が子供時代の身体的虐待と関連しているという。同様に、低中所得国の女性の精神疾患の31%が子供時代の性的虐待と、高所得国の女性では19%が子供時代の精神的虐待と関連している。

子供への暴力・虐待による経済的損失は、高中所得国でGDPの3.45%と最大となり(うち最大の1.26%が精神的虐待)、高所得国では1.45%(うち最大の0.42%が精神的虐待)だった。


2015年6月3日 著作物です。無断転用は禁止します。 さとうかずや(さとう社会問題研究所)



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