さとう社会問題研究所では、心理コンサルティング、ハラスメント防止教育などを行ってます。詳細はページ下をご覧ください。

さとう社会問題研究所コラム

2016年最初のコラム記事になると思います。今日は2016年2月19日です。

今週は、前の記事でお伝えしたクライアントの大きな予定の都合で、虐待について考える1週間でした。

「虐待やハラスメントの事を知ってもらう事」

クライアントとのやり取りで、この点について考える事になりました。


今回のタイトルは、

虐待やハラスメントに対する「認知」と「理解」

です。


認知が広がる事と、理解が深まる事は、共に知ってもらう事ですが、

クライアントと私は、共に、

「認知が広がる事」は歓迎なのですが、

「理解が深まる事」に対しては、大きな懸念があるという事でした。


人が何かを理解するためには、

「自分なりの理解」

である事が必要です。


虐待やハラスメントの事例や被害、被害者の苦しみや加害者の事など、

「事実をそのまま」ではなく、

「被害者が語る事実に対し、自分が受け入れやすい形に加工されている事」が必要です。

これが、「理解」と言う事ですが、それは「虐待やハラスメントに関する『知識』」であって、

虐待やハラスメントの「被害者や加害者に対する理解」でも、事例に対する理解」でもありません。

あくまで、お勉強の中で得た知識、一般化された情報に収まってしまいます。


たとえば、「虐待の連鎖」というものがありますが、

この言葉が独り歩きする事で、虐待被害を乗り越えて、

自分の子供は虐待せずに必死に子育てに奮闘している虐待被害者に対しても、

その「知識」によって、「虐待の連鎖」を根拠とした偏見に晒されてしまう、

これは、虐待被害者の実態に対する理解から、かけ離れた知識となってしまうリスクがある、

という事でした。


また、私の所にカウンセリングや心理コンサルティングをお求めになる方は、

「カウンセラーや精神科医との壁」を、訴えられる事が多いのですが、

これは、カウンセラーや精神科医が、虐待被害者や患者さんを「知識」として理解しているため、

事例や苦しみに対しては、「自分なりの理解」でしかないためです。


虐待やハラスメントの被害者は、「自分と自分の抱える苦しみ」が理解される事を望まれますが、

元より、そんなものを理解できる訳がない。

それに対し、事実を知る事で実態に近づこうとする努力ではなく、

自分の知る所に被害者の苦しみを押し込めて、その外の事は見て見ぬ振り、

さらには、被害者を無知なり被害妄想なりと罵る事で自己解決しようとする無責任に陥ってしまう方もいる。


そういう、「知識だけの人」や「知識すらない親切なだけの人」ならば、最初から、近づかない方が良いと思います。


ここで、

「パワハラやブラック企業」の専門家である社会保険労務士の団体であったパワハラ事例

の裁判に関するネットニュースの記事をご紹介します。


二審東京高裁は「幹部らは、社会保険労務士として専門分野であるはずの労務管理で対応を誤った」と指摘。


と言う事ですが、どうして、こういう事が起こったのか?

これが、ハラスメント防止教育で考えていただく事の一つでもあります。


今回の事例とは直接関係ない検討ですが、たとえば、

「パワハラ」と「パワハラが不法行為である事」である事は専門家として「知識」の上では当然に理解できていたでしょう。

ただし、ハラスメントやその被害の実態については、まったく知らないし、そもそも自分には関係ないので関心すらない。

ハラスメントやその被害の実態について知る努力さえできないのに、独り歩きした言葉だけで、何かを知って理解できたつもりになってしまっているため、自分のしている言動の意味が分からない。

だから、被害者の苦しみや訴えを事前に受け止める事もしない。

当然、被害者は、裁判所に訴える。

ここから、ハラスメントなどで訴えられた多くの方の迷走が始まります。

もちろん、今回の事例では、この、どこまで当てはまっているかは不明です。

ただ、せっかく、一度和解できたのに、再び訴えられた事で、その悪質性が認められ、請求額がそのまま認められる結果となったと思われます。

特に、その分野の専門家の団体ですので、余計に厳しく判断されたようです。

ただ、社会保険労務士って、ハラスメントの事をどれくらいご存知なのでしょうかね?


私は、ハラスメントの事を何も知りません。

ご相談いただいた方の事例、その限りは存じていますが、その限りです。

だからこそ、被害者の方には、たくさんご相談いただきたいですし、

ハラスメントで訴えられた方に対しても、被害者の抱える苦しみや恐怖をお伝えし、

せめて、後に同じような事を繰り返す悲劇だけは避けたいと願って対応させていただいています。


と、言うのが、さとう社会問題研究所で行っている、ハラスメント防止教育であり心理コンサルティングです。



パワハラ、和解後に再び=社労士団体への賠償命令確定―最高裁


 社会保険労務士らの団体で勤務していた40代の女性が、パワハラを訴えた訴訟で和解が成立した後も上司の発言で名誉を傷つけられたとして慰謝料を求めた訴訟で、請求通り330万円の支払いを命じた二審判決が17日付で確定した。最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)が、団体側の上告を退ける決定をした。

 団体は労働保険事務組合「神奈川SR経営労務センター」(横浜市)。判決によると、女性は2011年、組合幹部らからパワハラを受けたとして提訴し、12年に和解が成立した。しかし、13年に組合の会員が集まる場で「(原告の女性は)いきなり声を張り上げ、意見を聞こうとしない」などと発言され、再び提訴した。

 二審東京高裁は「幹部らは、社会保険労務士として専門分野であるはずの労務管理で対応を誤った」と指摘。請求を棄却した一審横浜地裁判決を取り消した。 



2016年2月19日 著作物です。無断転用は禁止します。 さとうかずや(さとう社会問題研究所)



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さとうかずやです。
さとう社会問題研究所としてコンサルティング、カウンセリング事業を営んでます。

得意としている相談分野は、心に関する事、対人関係、社会問題に関するコンサルティングです。
その他、何でも話せる日常の相談相手、話し相手として、重用いただいてます。

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