さとう社会問題研究所コラム

さとう社会問題研究所では、東日本大震災についても高い関心を持ってコメントを続けております。
今回、東日本大震災により、東京電力福島第一原子力発電所にて、わが国では初めてとなる、大規模な原子力災害が起こってしまいました。
今回の事故以降、我が国の電力事情は大きく変わっております。
震災直後の3月には、関東圏での計画停電があり、5月6日には突如、総理大臣により中部電力浜岡原子力発電所に対する停止命令、7月以降の猛暑による全国的な電力不足の危機、電力に関しては未だに混乱状態にあると考えられます。

さとう社会問題研究所では、電力の混乱に対し、多大な懸念を抱いております。
今回の原発事故に起因する節電が、人命、被災地支援、日本経済、法治国家の在り様に対し、重大な悪影響を及ぼす危険性です。

今回は、その中でも「人命」に焦点を当てて述べたいと思います。
報道の限り、6月29日の時点で2996名の方が熱中症の症状で救急搬送されたそうです。
震災などの天変地異が続いたのが原因か、今年は6月の時点でずいぶん気温が高く、これからも熱中症の危険性が高い日が続くと思われます。
厚労省は昨年の熱中症による死亡者を1600名以上としており、今年もそれを上る死亡者が出ることは容易に想像がつきます。
この時期に日本中の各電力会社は、原子炉の再稼働ができないためか、夏場の電力危機回避のため、一律15%の節電などを要請しております。
夏は毎年のように首都圏では電力危機に陥りますし、今年は停止した原発が再稼働できない状態で全国的に融通もできないそうですので困った話だと思います。

さらに、昨年も問題になっていたことなのですが、真夏の熱帯夜が続く時期、高齢者が寝ている間に熱中症になってしまわれることがあります。
その中には、エアコンを使っていなかった方が多くおられたと言われております。
高齢者の中にはエアコンやクーラーに対し、「体が冷える」と思われている方がおられるようで、健康に気遣った結果、熱中症になってしまわれた例があったそうです。

今年も、この「エアコン敬遠熱中症」は発生すると思われますが、それ以上に、「節電熱中症」や「脱原発熱中症」が多く発生すると思われます。
日本人は極めて誠実で几帳面なところがあり、政府や自治体、電力会社の「節電」という言葉に真摯に付き合ってしまうことでしょう。
それにより、本当に15%節電してしまったり、必要な電力も使わなかったりすることが考えられます。
無理な節電をしてしまい、夏バテなど体調を崩されたり、熱中症になってしまわれる危険性を危惧しております。

さとう社会問題研究所では、無理な節電をしないよう、エアコンを使うことをお勧めしております。
もちろん、節電をしないことを意味するのではありません。

エアコンは、ご家庭での使用電力のうち、一番多くの電力を使用しているそうです。
エアコンの使用電力を下げる方法として、いろいろと言われております。
たとえば、エアコンの温度を1度上げるだけで10%抑えられるそうです。
夜の間に氷を作って、お昼の電力需要が多くなる時間にエアコンを止めて、扇風機と夜に作った氷枕で過ごすという手段もあると思います。

体調の管理として、「熱中症」は、「脱水症状」と「低ナトリウム状態」に注意をする必要があります。
こまめに水を飲んだり、塩分の補給が予防にも応急措置にもなると言われております。
食べ物としては、味噌汁、ざるそばなら蕎麦湯で汁を飲んだり、ラーメンやうどんのスープに口を付ける。
漬物や、野菜に塩を振るなどが有効だと思います。
(ただし、日本人の食生活は塩分過多と言われております。通常の生活で特別なことをする必要はないでしょう。)
お酒はアルコールを体内で分解するのに多くの水を使うため、脱水の恐れがあります。
ジュースは糖分が多く水分吸収が悪いです。また、短時間に多量の糖分を摂取した場合、急性の糖尿病を発症する恐れがあります。
水やお茶による水分補給の場合、ナトリウムが不足する恐れがありますので、塩分の補給を心がけてください。


最後に、みなさん、エアコンを使い、暑い夏を乗り切りましょう。


2011年7月2日 著作物です。無断転用は禁止します。 さとうかずや(さとう社会問題研究所)


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