さとう社会問題研究所では、心理コンサルティングなどを行ってます。

さとう社会問題研究所コラム


【開業9年目のご挨拶】失敗しない傾聴の仕方


1、開業9年目のご挨拶

開業日が1月末のため、ずいぶんと遅れてしまいましたが、開業9年目のご挨拶をさせていただきます。

この記事を執筆しているのが東日本大震災のあった3月11日です。

何か言いたいのだけれど、何を言えば良いのか分からない。もどかしさを今も抱えております。


お陰さまで、さとう社会問題研究所は開業10年に向け、1年を始める事ができました。


本当は、もう少し早く記事を挙げたかったのですが、1月末から2月中旬まで、急ぎで請願書の執筆をしており、

執筆にかかり切りだった1週間、風呂にも入れず、食糧が尽きたためチョコレートソースとコーヒーだけで執筆に臨んでおりました。


この請願は既にアップしておりますので、請願書のページでご覧いただけます。

請願の詳細については、放送やメルマガで触れておりますので、こちらでは省かせていただきます。


さて、近況はこれくらいにして、昨年は虐待父が2011年からの中高年の引きこもりの末に亡くなり、本当の意味で虐待のサバイバーとなりました。

また。とても短い間ではありましたが、認知症状態の父を介護もしており、入院した後は見舞いに行くなどしておりました。

母や祖母さまが直ぐに亡くなった事を思うと、いろいろと考えさせられました。

このお話は、アメーバブログの2019年12月後半に少しずつ記事を書いておりますので、宜しければご覧ください。


2、失敗しない傾聴の仕方とは?

では、ご挨拶はここまでに、本題の「失敗しない傾聴の仕方」について考えてみたいと思います。


これは、昨日、アメブロにて、下でご紹介している、引きこもり支援の記事を読み、

こちらのお話を放送でさせていただきました。


【放送概要】支援者、相談員を怖いと感じる理由(2020/3/10)


その補足と言いますか、「相談員から傷つけられると訴え、当事者や家族が行政や医療機関への相談を途中でやめてしまうケースが後を絶たない」という問題に対し、

同じ相談、支援を仕事にしている身として、みなさんのお役に立てないかと考え、昨日の放送、アメブロ記事に加え、開業9年目のコラムとしてお話させていただこうと考えました。


あまり長く説明すると返って分からなくなると思いますので、結論から申し上げれば、

お話をうかがいながら反論を考えていませんか?

無意識的に反論材料を探すなど、会話における習慣の問題ですね。

次に、「反論」という言葉でしっくりこないなら、

できること探し、できそうなこと探しはしていませんか?

これは「生きづらさを理解してくれない」「すぐに就労に結びつけようとする」という、

下の記事にある当事者の訴えに近いものだと思います。


この2つを意識していただくだけで、ずいぶん相談対応の姿勢が変わると思います。


特に、この「できること探し」は、やってしまいがちになると思います。

せっかく相談に来てくれた方なので、事態打開のための方法を模索し提案したいと思うのは当然です。

ただ、相談者にとって「反論」や「できる事探し」は、話を聴いてくれていないのと同じで、

これが「生きづらさを理解してくれない」「すぐに就労に結びつけようとする」と感じさせているのだとは分かります。


カウンセリングでは、「『答え』はクライアント自身の中にある」と考え、

それを引き出すため、傾聴が重視されています。

この点は支援を求めて相談にお見えになる方も同じで、

受けたい支援や就労できるか否かについては、すでにお答えを持っていらっしゃいます。


つまり、現状、それができないから相談に来るのであって、できるのなら相談にはお見えにならないと思います。

必要がないからですね。

そして、我々、相談を受ける側は、その方の現状が、どの様な惨状であったとしても、

それが、その方や周囲の方たちが、改善のために努力をなさった結果、成果である事を忘れてはならないと思います。

わたくしはお勧めしているのですが、「まず相談しよう」という方は、なかなかいらっしゃいません。

相談に来るくらいなのですから、極限状態でも精一杯やったと考えるべきではないのでしょうか?


「自己責任」や「甘え」という観点から、反論し、できる事探しをしてしまうという事は、

努力や苦労の果てに消耗した心身にムチ打つ事と同じ。

この観点を見失ってらっしゃるのでは?と思います。


そもそも、カウンセリングでは、クライアントに対する評価は禁忌です。

「自己責任」や「甘え」というのは評価に該当しますね。

カウンセリングではない相談の場であったとしても、評価はお辞めになった方が宜しいかと思います。


さとう社会問題研究所には、カウンセラーや相談員に対し、ただ聴くだけで何も言ってくれないという不満からご相談下さる方も多いです。

「アドバイスが欲しい。支援して欲しい」と言われた時、

我々が提供するアドバイスや支援は、我々のやりたい事、相手にしてもらいたい事であってはなりません。

(これは最近だと「指示厨」と言われるものですね)


特に、個人的な政治的、社会的な思惑を持ってクライアントに臨んでらっしゃる方には、

「あなたはクライアントを利用しているのですよ」と警鐘を鳴らしたいと思います。


アメブロやツイッターでも述べましたが、

相談に来る方は、それが有料であれ無料であれ、勇気を振り絞っていらしている事を忘れてはなりません。

生活保護の相談もできないまま、餓死を選んだ親子のニュースもあるくらいです。

人は理性では動きません。

「相談するなら死を選ぶ」という方は確かにいらっしゃいました。

それを身をもって知っているわたくしとしては、

「怖くて相談に行けなくなる」というのは最悪の結果への入り口です。


さとう社会問題研究所の9年やって来られたのお礼として、久々に相談の技術的なお話をさせていただきました。

この記事をご覧になった方には、何かを感じ、お考えいただき、お役立ていただければと思います。



引きこもり支援、同じ目線で 相談員「甘え」認識見直し

引きこもりを「自己責任」や「甘え」の問題ととらえる相談員から傷つけられると訴え、当事者や家族が行政や医療機関への相談を途中でやめてしまうケースが後を絶たない。認識のギャップを埋めて同じ目線に寄り添う支援の実現を目指し、当事者団体が相談員を対象とした研修会や講演活動を重ねている。

「生きづらさを理解してくれない」「すぐに就労に結びつけようとする」。NPO法人「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」(東京)が2018年11月〜19年1月に当事者と家族計356人に実施した調査では、そんな記載が目立つ。支援や医療機関の利用を途中でやめたと回答したのは42.4%に上った。

KHJは17年度から行政や支援機関などの相談員を対象とした研修会を開催。「急がば回れ。仲間づくりをしてから就労した人の方が定着している」。1月下旬、都内の研修会では名古屋市の支援NPO「オレンジの会」の鈴木美登里理事が語り掛けた。自らも元引きこもりの当事者だ。

沖縄市や前橋市など各地から約60人が参加。関東地方から訪れた行政担当者は「当事者の声に耳を傾け、言葉の奥にあるものに気付きたい」と感想を語った。

当事者目線の重要性は支援機関の間にも広がる。経験者らでつくる一般社団法人「ひきこもりUX会議」(東京)への講演依頼は17年の9件が18年は18回、19年は25回と増加。官民の相談員を対象にした研修会を10年から続ける内閣府は昨年初めて当事者団体を講師に招いた。

UX会議の林恭子代表理事も20年近くの引きこもり経験がある。従来の支援を「道を外れた人を治療、矯正してまともな人間に戻そうという『上から目線』だったのではないか」として「引きこもりは必ずしも悪いことじゃなく、生きづらさから身を守る行為でもある。その人が生きたい未来を一緒に見てほしい」と語る。〔共同〕



さとう社会問題研究所では放送でも研究所の考えをお伝えしております。

放送は、こちらで行っています。

PCの方はGooglechrome、スマホの方は専用のアプリでご参加いただけます。

https://discord.gg/WxzJ6gU (さとう社会問題研究所のチャンネル)


メルマガと放送は連動しておりますので、放送内容の確認や研究所の活動や放送にご支援いただくつもりでメルマガの購読をご検討いただければと思います。

有料メルマガ『さとうのメルマガ


2020年3月11日 著作物です。無断転用は禁止します。 さとうかずや(さとう社会問題研究所)



さとう社会問題研究所の詳細は、このサイトの各ページでご確認ください。
研究所のトップページ