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さとう社会問題研究所コラム
さとう社会問題研究所では、離婚やDV、その他の社会問題など、法律や裁判に関係するお悩みをうかがう事もあります。
もちろん、私は、弁護士など法律の専門家ではないため、法律相談を受ける事はないのですが、一応、法律学専攻でしたので、法律に関する一般的なご説明などはさせていただく事があります。
今回は、民事訴訟法について説明してみます。
第一回にこれを選んだ理由は、民事裁判は、弁護士が不要なので、本人訴訟と言う形で当事者本人で裁判を行う事が少なくないです。
そのため、どうしても、充分な知識や理解がないまま、自分の知っている限りで裁判を戦っていらっしゃる事もあり、「ルールの場である裁判で、ルールを知らないまま戦う」というのでは、かなりの無謀だと言わざるを得ません。
そのため、こちらでは、可能な限り簡単に法律の説明をしてみようという試みようと考えています。
なお、私は、憲法学と法政策が専攻だったため、民事訴訟法は専攻ではないですし、実務の事は分かりません。
あくまで、学問の範囲で簡単な説明を試み、専門的な書物の理解を助ける目的の物ですので、細かい点の説明不足にはお目こぼし頂ければと思います。
この法律は、刑事裁判とは異なる民事裁判に関する法律です。
具体的には、借金などお金に関する裁判、離婚裁判、不当な解雇など労働関係の裁判、交通事故やイジメ、パワハラに関する損害賠償の裁判などが、その対象です。
国の行った処分などについて争われる行政事件にも、行政事件訴訟法と言う個別の法律はありますが、基本的には、これも民事訴訟です。
さて、民事裁判と刑事裁判には、根本的なルールの違いがあります。
民事裁判は弁論主義であり、刑事裁判は弾劾主義で行われます。
この弁論主義は、多くの当事者のお話でも十分な理解がない事が見られ、自ら不利を招く事になっています。
弁論主義とは、職権探知主義の対義語です。
これが、刑事裁判との決定的な違いの一つと言えます。
弁論主義には3つの原則があります。
一般的には「テーゼ」と呼ばれますが、私は「新世紀エヴァンゲリオン」の「残酷な天使のテーゼ」を思い出すので、「原則」と言っています。
第一原則は、「当事者が主張しない事実は裁判の基礎にしてはならない」です。
たとえば、裁判官が証拠から、犯人がAだと認められる場合であっても、当事者が、「Aが犯人だ」を主張していなければ、裁判官は、真犯人Aを犯人とする判決ができません。
特に、民事裁判では、当事者が、それぞれ、「犯人はB」「犯人はC」で争っている場合、裁判官は、「B」か「C」のどちらかを犯人としなければなりません。
第二原則は、「当事者間に争いのない事実は、そのまま裁判の基礎にしなければならない」です。
これは、当事者が自らに不利な事実であっても、その事実を認めている場合、その事実を判決とする必要があります。
たとえば、裁判官には別人が犯人である事が証拠から明らかな場合であっても、本人が「自分が犯人だ」と認めているならば、その自白をもって有罪としなければならないという事です。
第三原則は、「事実認定の基礎となる証拠は、当事者が申し出たものに限定される」です。
「職権証拠調べの禁止」といわれるものです。
裁判官は、当事者の申し出ていない別の証拠を調べれば事実認定ができる場合であっても、当事者が申し出をしない限りはその別の証拠を調べる事はできません。
以上の事を要約すると、民事裁判は「言った者勝ち」という事です。真実を明らかにする事はできません。
言っていない事は判断の基礎のなりませんし、自白すれば、そのまま判断の基礎になります。
また、出していない証拠は証拠でも何でもありません。
次は、この「証拠」について触れたいと考えています。
2015年1月28日 著作物です。無断転用は禁止します。 さとうかずや(さとう社会問題研究所)
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その他、何でも話せる日常の相談相手、話し相手として、重用いただいてます。
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