「裁判所による面会交流制度の運用を監視する会」は、2014年9月20日、東京家庭裁判所に対し、以下の内容の請願を行いました。
請願は郵送の形式によって行いました。
請願解説:
今回は、監護親から、面会を通じた子供の心理の変化を受け、面会交流の禁止を申し立てられた事件に対する請願書です。
この件では、裁判所は、子供の心理状態の悪化の亢進を受け、2度、調査を行っています。
これに対し、当会では、機能不全家族やアダルトチルドレン、虐待被害者に対する筆者の対応実績から、独自に、現在の子供の心理状態と、それに至った原因を詳細に分析、検討し、請願書として提出したものです。
なお、本請願書にある拉致のような強制執行方法について、当時の最高裁判所は「現場に任されている」と正当化していたそうですが、その後、路上での執行は原則禁止となったそうです。
請願書
(注:事件の特定につながる情報、当事者の個人情報に該当する部分は表示しておりません)
請願事件:
平成○年(家)第○○○号 面会交流事件
請願事項:
我々、「裁判所による面会交流制度の運用を監視する会」(以下、当会)は、東京家庭裁判所(以下、御庁)に対し、○○○さんが申し立てた面会交流事件(以下、本件)で安易な父子の交流遮断の判断を行わないよう、長女・○○さんの「親を失う恐怖」を先取りした心理に充分に配慮した面会条件による交流の維持を強く求めます。
請願趣旨:
当会は、家庭裁判所における面会交流調停及び審判の全参加者に対し、面会交流制度の趣旨および裁判官や調査官、調停委員等の当事者に対する公平な視点こそが子供の利益の基礎となる事をお伝えしている任意団体です。
本件では、御庁における上記事件の一方当事者である、○○○さんの依頼を受け、 二度の「子の心情に対する調査報告書」の内容を当会で独自に検証し、日本国の主権者の一人として、日本国憲法第16条及び請願法に基づき、意見を述べさせていただきます。
請願理由:
一、長女、○○さんの心理状態からの面会交流を維持する必要性
平成○年○月○日の調査報告書(以下、第一回報告書)から、○○さんは4回目の面会から、それを嫌がるようになり、半年ほどの間に急速に父親に対する感情が悪化したという事である。
これは、父親である○○○さんが○○さんとの面会に当たり、十分な配慮をできなかった事が原因であると考える事も可能であるが、○○さんとの別離の期間が長期に及んだことによる情報不足。その心理や成長の状態を十分に把握する術が無かった事によると考えるべきである。
また、その父親である○○さんに関しては、同じ第一回報告書にある通り、不当且つ理不尽な人身保護命令による心理的衝撃、ストレスにより、いわゆる父性、○○さんとの関係性の構築に支障があった可能性もある。それを父親個人の責任に帰することは、法によらない制裁を科すことを意味する。
法によらない制裁は、近代法の大原則である罪刑法定主義に反し、また、日本国憲法第31条に反するものであり、司法の暴挙を○○○さんに対する人権侵害で正当化する事を意味する。
現在、○○さんによると、明らかになっている問題点は改善するよう努力しているという事である。
そもそも、交流を遮断したからと言って、未成年者の心理状態や父親に対する嫌悪が改善されるとも限らない。
必要以上の交流の遮断により、父親に対する嫌悪感を亢進させる恐れもあるため、面会の環境及び父子関係の改善を図るためにも、条件や環境を最大限、改善した上での面会の再開が望ましい。
また、○○さんは中学校への進学も近づいている。
中学生になれば、部活動に参加することもあり、面会ができない事もあろう。子供の成長と自立のためには、それも止むを得ない事である。
以上から、残された時間が限られている事もあるため、可能な限り、早い段階での面会交流再開が望ましいと意見を申し上げる。
二、本件の根本的な問題は、法と両親が長女、○○さんをおもちゃにした事である。
平成○年○月○日の『調査報告書』の3頁から、
「二度目の執行は、平成○年○月○日,路上で行われ,父と未成年者が保育園から帰宅したところを執行官が待ち伏せ,未成年者を連れて行く形で引渡しが実現した。父は,十数人の執行官に囲まれ,泣き叫ぶ未成年者が連れて行かれる様子はまるで未成年者が拉致されたようだったと述べる。」
平成○年○月○日の『調査報告書』の9頁から、
「未成年者は,面会交流に関する話題にとても敏感になっており,父が警察に届けたことや調停の経過などに強い関心を示し,母から聞きたがるという。母によると,父が警察に届け出たことで,急激に未成年者の気持ちが拒否的になってしまったといい,最近では父に対する好意的な態度は全くなくなり,自分も早く裁判所に行って自分の意見を言いたいと述べているという。」
○○さんは、申立人である母親にも、父親である○○○さんにも、自分の権利のための道具、おもちゃの取り合いの要領で人身保護命令の対象とされ、両親だけではなく、裁判所にも、権力誇示のおもちゃにされた過去がある。
たとえば、第一回報告書にある通り、母親から面会の見合わせの申し入れがあっても、○○さんは、それを無視して面会の場所に行き、その度に警察に通報していたとの事。
これは、○○さんにとっては、人身保護請求の時の再現になったと思われる。
しかしながら、○○さんにとっては、これは、ご自分が娘を奪われたことに対する申立人と裁判所への意趣返しのおつもりも有っただろう。
そもそも、この意趣返しは、裁判所が、理不尽且つ不当な人身保護命令により、○○さんによると「拉致」という手段をもって、○○さんと○○さんの親子の絆と人権を踏みにじったことによる。
法はあらゆる暴挙や苦痛を許容する訳がなく、裁判所には、自らの、あらゆる暴虐を正当化する権利が与えられているという自己解釈は、司法の思い上がりに他ならない。警察への通報が、○○さんによる意趣返しだとしても、それが違法な行為ではない以上、裁判所が自ら望んだ事である。
しかしながら、これにより、○○さんには、裁判所による人身保護命令で父親を失った次は、警察に母親も奪われる恐怖にさらされ続けている事は明白である。
それと共に、○○さんが父親の引っ越しを嫌がったことや、面会を途中で切り上げると面会できなくなると言っていた事などから、○○さんの恐怖の対象は、「親を奪われる事」だと考えるべきである。
この「親」とは、「父親」ではなく「両親」を意味する。だからこそ、面会を拒絶しながら面会に母親の同席も求めるような発言が見られるのである。
現在の、○○さんの面会交流を拒否する感情は、面会交流の環境整備が十分でなかったことに対する不満と、ご自分の気持ちを伝えても、父親が、自分に○○合悪い発言を、母親による片親阻害にすり替えて受け止め、○○さんの感情として受け止められなかったことに対する不満の発露に他ならない。
この不満とは、「自分が父親に見られていない」というものであり、「見捨てられ不安」が根底にあると思われる。
その○○○さんのすり替えは、不当且つ理不尽な人身保護命令を通じて学習された疑心暗鬼に基づくものであり、その全てを○○さん個人の責任とする事は、法の暴挙を法によらない制裁、すなわち、人権侵害をもって正当化する日本国憲法と主権者である日本国民に対する反逆を意味する。
また、平成○年○月○日の調査報告書(以下、第2回報告書)の6頁には、「両親との面会交流」とある。これは、無理条件の提示ではなく、子供の教育に悪い自分勝手な両親に対する抗議である。
筆者自身は神仏どころか親の愛情とやらも一切信じていないが、キリスト教では、神の愛情は、すべての者に等しく与えられるものであり、かつ、あらゆる罪を許すほど、無条件で絶対のものであるという。
第2回報告書の4頁にあるイエスという父親は、○○さんにとって、法や裁判所、警察の権力でさえも奪い取ることのできない強さと、人の及ばぬ深い愛情や父性を持つ絶対の存在を意味しているであろう。
そのような人外の父親を求めるという事は、それだけ、重大な愛情の欠如に苦しんでいる事を意味していると受け止めなければならない。
その上での、交流遮断の願望は、○○さんが、あくまで温かい家庭を望み、親を失う恐怖から逃れるためのものに過ぎず、「イエス・キリストが父親である」という趣旨の発言も、精神症状の類ではない。
いわゆる「見捨てられ不安」を先取りし、「父親から捨てられる前に自分から捨てる」という、自傷の恐れを検討すべきである。
もちろん、これらの考察は、○○さんの無意識の領域に対するものでもあるため、本人が正確に把握しているかも不明である。
以上から、○○さんの目的は父親を取り戻す事であり、両親の復縁であると考えるべきである。
仮に、本件の原因となった、父親である○○○さんとの面会を禁止にしても、不足した愛情が与えられる訳もない。しかしながら、○○さんが取り戻したい父親は、2回の調査報告の通り、今の○○○さんではない。
そのため、○○さんは、父親を再び失うリスクを冒し、父親だけではなく、両親を取り戻そうとしている。その復縁により、幼少期の人身保護命令などで失った自分の全てを取り戻し、自らを救う事が最終的な目的であると捉えるべきである。
これに対し、裁判所が安易かつ軽薄な交流遮断の判断を下すことは、子供の意思を尊重すると言いながら、○○さんの言葉を鵜呑みにし、その心情に対する観察を怠ったという自白を意味する。
裁判所には、過去の人身保護命令でおもちゃにされた○○さんのためにも、その心情と子供の福祉の本質から目を逸らさず、○○さんが再び、親を失う恐怖を先取りしようと思わぬよう、充分に配慮した面会条件を提示するよう求めて本請願を終える。
以上
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さとう社会問題研究所「請願書」