さとう社会問題研究所は、2015年1月20日、青森家庭裁判所十和田支部に対し、以下の内容の請願を行いました。
請願は郵送の形式によって行いました。

請願解説:

今回は、離婚裁判に対する請願書です。
離婚や親権は「裁判所による面会交流制度の運用を監視する会」の請願対象ではないため、研究所としてお引き受けしました。(別料金です)

この件でも、裁判所は調査を行っています。

調査は行われたものの、調査報告では、依頼者の重要な発言の不記載が多く見られました。
その不記載の中には、監護者として重要な要素である医療に関する内容や、子供が生活する雪国の事情を考慮した発言があり、当研究所では、これを特に問題視しています。

当然、これによる検討不足は、民法第766条で定められている離婚後の監護に関して最も優先して考慮されなければならない子の利益を阻害する重大なリスクとなっています。


追記

今回の共同請願者からいただいた情報ですが、青森家庭裁判所十和田支部から依頼者の代理人弁護士に対し連絡があったそうです。
その中で、請願者の個人情報と請願の内容が「裁判所のやり方に口を挟むような内容」だったと伝えられたらしく、依頼者は代理人から酷く叱責をされたそうです。

私が闘う主婦!さんと共に行っている裁判所による面会交流制度の運用を監視する会も、裁判所に対し請願書の提出を行っています。

請願権について定めた日本国憲法第16条と請願法第6条には、以下のように定められています。

日本国憲法第16条

何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

請願法第6条

何人も、請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

今回の、青森家庭裁判所十和田支部から依頼者の代理人弁護士に対する働きかけは、当研究所および当会の請願活動に対する司法権を代表した間接的な政治圧力であると受け止めています。


請願書
(注:事件の特定につながる情報、当事者の個人情報に該当する部分は表示しておりません)


請願事件:
十和田支部平成○年(家ホ)第○号 離婚事件
十和田支部平成○年(家ホ)第○号 離婚等事件

請願事項:

私、さとうかずやは、日本国憲法第16条と請願法に基づき、十和田支部平成○年(家ホ)第○号離婚事件および十和田支部平成○年(家ホ)第○号離婚等事件(以下、本件)について、以下の申し入れを行います。

平成○年○月○日付の青森家庭裁判所家庭裁判所調査官の谷村和人さんと青森家庭裁判所八戸支部家庭裁判所調査官の平林未希さんによる調査報告書(以下、調査報告書)には、重大な内容が反映されていない事および検討不足により、調査官の意見において、結論が操作されている部分があり、民法第766条で定められている離婚後の監護に関して最も優先して考慮されなければならない子の利益を阻害する重大なリスクがあります。

 そのため、本件の審判を担当なさる山崎克人裁判官には、本請願書で指摘する、谷村平林両家庭裁判所調査官の調査報告に反映されなかった重要な内容と、提出された調査官の意見の中での検討不足及び結論が操作されている事による子の利益に対する重大なリスクを十分に考慮した上で、○○○さんを法の正義と子の利益と称した孤独の闇に突き落とさぬよう、強く希望いたします。

請願理由:

一、本件の調査報告書の問題点および谷村平林両家庭裁判所調査官の検討不足の部分

 本件調査報告書に記載されている原告と被告の主張内容からも、谷村平林両家庭裁判所調査官が、真に検討しなければならない監護におけるリスクを看過した事は明らかである。

調査報告書9頁から10頁

(3)心身の状況
ア リストカット
被告によれば 20代前半からリストカットをするようになった。以下の状況がある。
(ア) 婚姻前
a 時期は不明だが,交際していた男性(原告とは別人)が被告以外の女性と交際していたことが判明し,裏切られた気持ちになり,左手首を切った。
b 原告と交際していた際,原告が被告以外の女性と交際していたことを知って手首を切った。
(イ) 婚姻後
平成○年に原告宅を出る直前に,原告が○○○と交際していた事を知り,手首を切った。なお,その際,長男は寝入っており,リストカットの様子などは目にしていない。
(ウ) 被告によれば(原告と交際を始めた以降は)原告の関心を惹こうとして,リストカットに及んだという。いずれの時も,出血が比較的少量であり,通院などせずに自宅で治療した。
調査時に被告の左手首を確認したが,傷はほとんど目立たなかった。
(エ) 原告によれば 被告は,婚姻前に2度,婚姻後に2度のリストカットに及んだと述べる。
(オ) 被告によれば,原告と別居した以降は,心情が不安定になることがなく,リストカットはないという。
イ 飲酒
(ア) 原告によれば,被告は婚姻後,ほぼ毎日飲酒していた。別居前には,日にビール500mlを2缶 チューハイ350mlを2缶及び焼酎を割ったものをジョッキで2,3杯飲んでいた。出産間もない時期や授乳期にも,被告は,ストレスをため込むよりはいいだろうと述べ飲酒をした。また,飲酒をした際,長男を同乗させて自動車を運転し,コンビニエンスストアに出かけたこともあった。こうした点について,原告の母や原告の弟からも,同居時の被告は,飲酒により酩酊して,長男の世話がおろそかになるときがあったとの情報が述べられた。
(イ) これらの点について,被告は,原告と同居した際には,飲酒するとしても,夕食時にビール350mlを1缶飲む程度であり,また,長男を就寝させた後,更にチューハイをコップで2杯程度飲むことがあったという。また,妊娠から授乳期には飲酒を止めたとのことである。
現在は,夕食時に350mlを2缶ほど飲むことがあるが,仕事の疲れなどがあり,連日のように飲酒することはないという。また,飲酒した状態で車を運転したことはないと述べる。
ウ 被告の交遊
(ア) 原告によれば平成○年のお盆の期間に,暴力団構成員と噂される○○○(40代)宅前に数日続けて被告の運転する自動車が駐車されていたことがあった。 また,被告宅前に被告の友人のものと思われる自動車が夜通し駐車されていたこともあった。
(イ) この点について,被告は,原告が指摘するような暴力団関係者(○○○)との交際はなく,また,友人が被告宅に宿泊するとしても,長男が不在となる週末に限られると述べる。なお,平成○年のお盆期間には高校時代の同級生と会っていたとのことである。


 ここに記載されている内容は、一見すると、被告である○○○さんが、長男○○○さんの監護者として不適であるという印象を与えるものであり、後述する調査官の意見でも、これらの点には触れられてこそいないものの、原告側の監護体制の充実と被告側の監護体制の不足という比較と、それによる結論に対し、疑念を持たせない役割を果たしている。

 しかしながら、筆者は、ここに記載されている原告側の主張に対し、大きな懸念を抱かざるを得ず、また、調査官の検討不足として指摘せざるを得ない。

1、離婚後に面会交流が行われなくなるリスクが考慮されていない

 まず、原告側が、積極的に○○○さんのリストカットや飲酒、交友に対し、重大な指摘を行っている事である。
 これは、「裁判」という場であり、「親権の取り合い」という「勝敗」のある場での事であるから当然の事ではあるものの、この指摘の内容は、飲酒運転や酩酊による長男の世話の不足、さらには、暴力団関係者との交友など、○○○さんのご人格や長男への母性に対する重大な攻撃である。
 調査報告書によると、現在は、原告被告の共同での監護が成立していると記載されてはいるものの、これほどの人格や母性に対する攻撃を加えるという事は、それだけ、感情的対立が深いという事でもある。
 当然、今でこそ、上手く面会交流が可能だと判断できるかも知れないが、小さなきっかけでも大きな争いとなり、面会交流が行われなくなるリスクがあると調査官は感得できなければならない。
 しかしながら、調査報告の中で、「○○○さんの人格や母性の問題点」として、これらの事項と双方の主張のみを記載し、原告側の主張の裏にあるリスクには一切触れていない。
 ここに、調査官の検討不足と結論を補強するためのバイアスの構築、印象操作の意図を感じるのは、心理臨床に携わる者ならば当然である。

 そして、「面会交流が行われなくなるリスク」と前述したが、原告がこれほどの人格や母性に対する攻撃を行った相手は、「長男○○○さんの母親」であり、その攻撃は自分の息子を否定するものになる事を本件のすべての関係者は忘れてはならない。

 近年では、「離婚や別居に伴う連れ去り引き離し」が社会問題化していて、裁判所は、これらを合法と判断をしているが、昨年は、裁判所の、その墨付きのお陰で虐待事件の可能性もある「居所不明児」の存在が明らかとなり、重大な社会問題として自治体なども調査を行ったとされ、裁判所の自己満足が公共の大迷惑となっている。

 また、家庭裁判所による面会交流調停及び審判では、面会交流は、裁判所と同居親の恩恵による所有物の賃貸借のごとく捉えられており、その実現の可否は、子の利益よりも同居親の意思が最優先とされていて、多くの面会交流の審判でも、同居親に対する格別の配慮に基づく交流遮断をもって子の利益に替えている事は周知の事実である。

 すなわち、一度、離婚後に面会交流が行われなくなるリスクが顕在化してしまうと、夫婦の無責任かつ身勝手な性欲により産まれた子供は、両親の離婚時には民法第819条により片親を奪われ、次は、裁判所から、子の利益ではなく同居親に対する格別の配慮に基づいて親を奪われ、大人と国家と権力の手により二重の孤独に突き落とされる事になる。
 あらゆるリスク管理の場面では、リスクが顕在化した時の対処よりもリスクの防止を重視する観点から検討する事が当然である。なぜなら、一度被った損害は容易には回復できないからである。

 この場合の損害とは、親を奪われる事により損なわれる子の利益である。
 それ故、監護権者の決定の際だけでも、親子の交流遮断を子の利益に対する重大なリスクと考え、調査も慎重に行われなければならないが、本件調査報告では、それがなされていない。


 2、印象や結論を操作しかねない記載内容

リストカットについて、谷村平林両家庭裁判所調査官が、この強い印象を持つ言葉を文頭に取り上げた意図には疑問がある。
もちろん、谷村平林両家庭裁判所調査官には、過去の事実と両者の主張を載せただけの客観的記載だけと言う事であろうが、リストカットを肯定的に捉えた記載でない事は明白である。
子供の利益を考える重要な局面で、さも、○○○さんが、ただの精神不安定でリストカットをする異常者であるという印象を与えかねないこの記載は、ただ、○○○さんの人格を貶めるだけではなく、○○○さんから子供が奪われるリスクを高めるものである。

そもそも、このリストカットは、男性側の○○○さんに対する裏切りが先行行為としてある。本件調査報告でも、原告が不貞を犯したことがその原因であると記載されており、離婚の原因の一つでもあるのだろう。
 本来なら、○○○さんは、少なくとも、原告に限らず、男性が不貞を犯さなければ、リストカットをしていないと考えられるべきではないのか。

最高裁判所も、不倫を民法709条の不法行為である判断し、損害賠償請求の対象としていて、すでに多くの判例があり、不義を裁けぬ法律上も、「不倫は文化」でも「男の甲斐性」でもない。

しかしながら、本件調査報告では、○○○さんのリストカットを殊更強調されている事は、「長男○○○さんの監護」における問題点を両家庭裁判所調査官が見失っているのか「誰か」のための結論操作、そのための無用な論点のすり替え、どちらかの役割しか果たす事がないものであると指摘する。

3、○○○さんの監護の努力が最大限に軽視されている

○○○さんが、原告との同居中、長男○○○さんの監護に払っていた努力は、以下の様に記載されている。

調査報告書10頁から11頁

(4)長男の監護に関するエピソード ア 原告や被告,また,原告の母などによれば前記のとおり,別居する以前は被告が中心となって長男の監護が行われていた様子である。


谷村平林両家庭裁判所調査官が、「母親による育児は当然」とお考えなのか、前述のリストカットや飲酒、交友の記載に比べ、いかに印象を与えないものか。
 ○○○さんに対しては、監護に対する努力と長男○○○さんに対する愛情を記載せず、リストカットや飲酒、交友関係を重点的に取り上げたなら、そこから得られる結論は、当然のものとなろう。
 これが、谷村平林両家庭裁判所調査官の「誰かの利益」のための野心の産物でないとするならば、調査報告に名を借りた人格非難に他ならないものであると言わざるを得ない。


二、調査官が意図的に調査報告に記載しなかった内容

当方でも、調査報告書に書かれていないが調査官に話をした内容について、○○○さんに確認と聞き取り調査を行っている。

請願理由一、の通り、○○○さんに対する悪印象しか与えない記載に重点を置いた調査報告は、これに反する内容の記載の多くがなされていなかった。

ここでは、谷村平林両家庭裁判所調査官が、「誰か」の野心のための結論のため、隠匿した○○○さんの監護に対する努力と長男○○○さんに対する愛情を記載し、本件調査報告と、これに基づく審判が、主権者である日本国民を欺き、子の利益を損なうものとなる事を指摘する。

1、○○○さんが正月に実家に帰った際、お母さまから、息子さんとお母さまが二人きりの時、「明日はお父さんのウチだよ」と言うと、息子さんは「イヤだ、行きたくない」と駄々をこねたとの事である。

これは、○○○さんご自身も経験をしていて、「明日はパパのウチに泊まるんだよ」と言うと、「イヤだ、行きたくない」とやはり、駄々をこねたとの事である。

しかしながら、この子の意思に関する重要な発言は、調査官にはお伝えしたにもかかわらず、調査報告には記載されていないとの事である。

2、長男○○○さんの医療に関することは、すべて○○○さんが行い、原告側はまったく関与していなかったとの事である。
長男が生後10ヶ月頃に川崎病(小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群)を罹患したとの事だが、重大な病気なので定期的に検査を受けて経過観察をする必要があるという。
 それにも関わらず、原告側は、この幼い長男の重病に関心がないのか、一度も検査に連れて行ったことがなく、今後どのくらいの間隔で検査を受ければ良いかも、原告側は理解できていないとの事である。
また、予防接種に関しても、何を受けたか、これから何の予防接種を受けるのか、原告側はまったく分かっていないとの事である。

子供の病気治療とは、安易に欠かす事もできない、家庭にとっては最大の負担の一つであり、監護者としての適性を測る最大の基準である子供の利益の重要な要素でもある。
しかしながら、その最大の負担を子供の父親である原告は、母親である○○○さん一人に負わせていたという事実があり、○○○さんは、この事を調査官に伝えていたにもかかわらず、調査報告には川崎病に関する記載がまったくない。

 これは、谷村平林両家庭裁判所調査官が、監護における子供の医療体制の重要性が充分に認識できていないか、そもそも、「誰か」が与えた審判の結論を重視するために、子供の医療体制の重要性を意図的に看過した事を意味する。

 また、本件において、この事実は、原告側の監護体制の不備が明らかとなる内容であり、調査報告15頁の意見の(2)アにある「原告や原告の両親,原告の弟などが長男の心身の状況や興味関心に配慮しなから,協力して長男の監護養育を進めていること」という記載と矛盾するものでもある。
 そして、○○○さんが、長男○○○さんの負担を負っていたという事実は、調査報告10頁のイ(ア)にある「原告の母や原告の弟からも,同居時の被告は,飲酒により酩酊して,長男の世話がおろそかになるときがあった」という○○○さんの母性および監護者としての適性を攻撃する主張の記載とも矛盾するものであり、調査報告の結論と矛盾するものとなりかねない重大な内容である。

 しかしながら、谷村平林両家庭裁判所調査官が、原告の主張内容に矛盾し、調査報告の結論に反する重大な内容を記載しなかった事実は、調査報告が、「誰か」の意思に基づき、「誰か」の野心を実現するためのものであるという誹りを免れないと筆者は断ずる。

3、2013年夏頃の話との事だが、長男○○○さんが二歳の時、原告に長男を預けていた際、熱性けいれんを起こしたらしく、病院にかかり、抗けいれん薬ダイアップを処方されたとの事である。
しかしながら、原告は、○○○さんにはこの話を伝えていなかったらしく、次に長男を監護した時に、たまたま病院にかかった際、病院でその事実を知ったとの事である。
その上、原告側は、保育園にはダイアップを余計に預けていたとの事である。しかしながら、○○○さんの方にはその話は一切していなかったとの事である。

これに対し、調査報告書4頁エには熱性けいれんの時も、きちんと連絡をしていたという趣旨が記載されている。

 これは、谷村平林両家庭裁判所調査官が、意図的に、原告の主張のみを子の監護に対する事実として認定、記載したか、○○○さんの主張を虚偽の内容として排除、記載していなかった可能性を意味する。

家事審判における調査報告は、審判結果を事実上決定するものである事は周知の事実である。
 その重要な調査報告の中で、家庭裁判所調査官が主張や事実に対し、一方的な記載や不記載を意図的に行う事は、調査だけではなく審判の公平性をも揺るがせにするものだと筆者は懸念を呈する

4、なお、谷村平林両家庭裁判所調査官は、調査報告15頁の意見の(2)アで「原告や原告の両親,原告の弟などが長男の心身の状況や興味関心に配慮しなから,協力して長男の監護養育を進めていること」と記載している。 これに対し、○○○さんによると、原告が監護の後、○○○さんの元に長男○○○さんが帰ってくると、鼻水を垂らしていたり、皮膚も臀部に湿疹が出来ていたりするとの事である。 そして、○○さんが病院に連れて行き、薬を処方して良くなり始めた頃に、再び、原告側に預けると、また症状が悪化して○○さんの元に帰ってくるとの事である。

同様の事例は、2週間に一回程度あるらしく、調査官にも伝えたとの事であるが、これも調査報告には記載がされておらず、子の監護において子の利益の重要なファクターでもある、監護時の子の健康状態の変化を記載せず、この結論とした事には、意図的なものを感じざるを得ない。

三、審判の公平性に悪影響を及ぼす調査官の意見

○○○さんの調査報告について、審判に重大な影響を及ぼすにもかかわらず、その公平性が損なう記載があり、この調査報告が、公平な審判に耐えられないものであることを明らかにする。

調査報告書15頁から16頁

4 調査官の意見
(1)長男の監護について
ア 長男は,平成○年○月に出生し,原告宅で暮らした。この際,被告が中心になって長男を監護し,必要に応じて,同居する家族がその監護を補助した。その後,平成○年○月に被告が長男を連れて原告宅を出た。以後,当事者双方(監護補助者を含む)が交代で長男の監護に当たる。
イ 現在の生活形態が1年半以上の期間継続しており,長男はこの生活パターンに適応して暮らしている。当事者双方の家庭が交代で長男を監護する態勢が相応に機能していると考えられる。
〈2)原告による長男の監護
ア 長男が原告や監護補助者(同居家族)に親和してのびのびと暮らしていること,原告や原告の両親,原告の弟などが長男の心身の状況や興味関心に配慮しなから,協力して長男の監護養育を進めていること,家庭状況が安定していることが確認された。
イ 原告宅において長男が監護されることにつき,現段階において,特段の問題や不安な点は確認できない。
(3)被告による長男の監護
ア 長男は被告に親和してのびのびと暮らしていること,被告の母が長男の監護補助や被告宅の家賃負担に当たっており,被告宅の生活を援助していること,被告や被告の母が長男の心身の状況や興味関心に配慮しながら,協力して長男の監護を進めていることが確認できた。
イ しかし,やむを得ないことだが,被告が単独で家事などをこなしながら,長男を監護せざるを得ない状況にあり,家庭訪問の際の様子からは,長男の心身の状況に対する配慮が十分に行き届かない場面が見られた。また,被告の母が監護補助に意欲を見せているが,同人が就労していることもあり,長男の日常的な監護にどの程度の援助ができるのか不明である。さらには,当事者が別居して1年半以上が経過したが,現在でも,被告には,収入確保や就職などについて課題があり,その生活状況が安定しているとは言い難い。
〈4)長男の親権の帰趨について
上記〈l)に記載した様に,長男の監護状況について,現状では重大な問題は生じていない。しかし,敢えて当事者の一方を親権者に指定せざるを得ないとすれば 上記の(2)及び(3)の事情を勘案して,原告を長男の親権者とせざるを得ないと考える。


 1、監護体制に対する評価の不公平

○○○さんのお母さまによる長男○○○さんの監護に対する協力について、「長男の監護については,被告が対応できない事態が生じた場合(具体的な場面や時期について言及はなかった。),被告に代わって対応したいと考えている」(調査報告書8頁e)という記述に対し、「被告の母が監護補助に意欲を見せているが,同人が就労していることもあり,長男の日常的な監護にどの程度の援助ができるのか不明である」と、調査官が、一方当事者である○○○さんに対するネガティブな印象を与える、調査において確認されていない被告側に不利な事実をもって、被告側の主張に反論した内容が記載されている。
しかしながら、同様の記載でありながら、監護に積極的かつ協力的な原告に対しては、「原告による長男の監護」の中で、肯定的に捉えられている。被告側に対しては、否定的に捉えられ、「原告を長男の親権者とせざるを得ないと考える」という結論の根拠とされている。
これらは、一見すると「リスクの検討」と読めなくもないが、その根拠は、他方当事者である、原告側の審判を有利にするための印象操作の恐れがあり、調査の公平性に客観的疑義を生じさせる記述である。

 2、居所に対する事情を記載しない事による印象及び結論の操作

また、「家賃3万5000円(月額)は被告の母が負担する」(調査報告書7頁ア住居の状況イ)という記載についても、「被告は,現在はパート職員として就労する(なお,介護関係の資格などはない。)。収入を増やすため,いずれは正社員として三沢市で就労したいと考えているが,現段階で就職の目処は立っていない」(調査報告書8頁イ)および「被告宅の家賃を負担する。「被告が現在のアパートで暮らし続ける間は,家賃を援助すると述べる」(調査報告書8頁d)と、家賃の負担が、被告の就労と経済的事情によるものだと印象を持たせる記載であり、調査官の意見の中でも、「当事者が別居して1年半以上が経過したが,現在でも,被告には,収入確保や就職などについて課題があり,その生活状況が安定しているとは言い難い」と、「原告を長男の親権者とせざるを得ないと考える」という結論の根拠とされている。

 しかしながら、ここには、筆者の如き、「雪が降るのも珍しい土地の者」ならば、想像すらできない、本件において真に考慮されるべき雪国ならではの以下の事情が、○○○さんは調査の中でも発言したにも関わらず、大幅に記されておらず、これは、調査官が故意に記載しなかったものと断ぜざるを得ない。

 まず、○○○さんは、アパートの家賃をお母さまが支出している事について、「収入が低くて、親の支援を受けないとならない状況ではなく、親権を得られたならば、実家に帰るつもりであり、今の状況のためだけにアパートを借りている」と述べているが、調査報告書には記載されず、読者に対し、「就労と貧困により、母親の援助を受けている監護不安定状態」とのネガティブな印象を与えるものになっている。

さらに、○○○さんが現在、実家を出てアパートにお住まいである事について、「アパートの方が若干、長男○○○さんの通う保育園に近いからであり、親権を得られたなら、○○さんも実家に戻り、保育園も実家の近くの保育園に転園するつもりだ」と述べたにもかかわらず、これについても記載がなく、「子供の登園の安全性に対する監護親としての配慮」という重要な子の利益のファクターが、読者に伝わらぬよう、印象操作がなされている。

 では、なぜ、○○○さんが、そのような母親からの援助でアパート暮らしをしているのかについて、これは、「雪中の道路の危険性」によるものである。 雪国では、雪の中を車で移動するのは命懸けらしく、例えば吹雪とかで目の前が真っ白になることがあるとの事であり、雪が降ったらなるべく外出しないというのが常識のようである。
それでも外出しないとならない時は、極力安全な方法で、運転する距離をなるべく短くするという。

○○○さんの場合も、実家から保育園の間には、田んぼの中に一本道のような道があり、雪が降ると道の端にある溝や用水路が見えなくなるため、車ごと転落する危険もあるとの事である。
しかながら、アパートから保育園に行く道ならば、その危険な一本道を通らなくて済むため、○○○さんは、お母さまの助言を受け、わざわざ保育園の近くにアパートを借りたとの事である。

本来であるならば、○○さんの職場も、実家からの方が近いにも関わらず、わざわざアパートに居を移しているのは、そのような雪国ならではの事情があり、かつ、自身の安全や手間よりも、長男○○○さんの安全を優先したからである。

 もちろん、○○○さんは、調査の中で谷村平林両家庭裁判所調査官にはお伝えしたとの事だが、○○さんとお母さまの監護の中での配慮となるこの内容も、「誰か」の求める調査報告の結論に反しているからか、調査報告には記載がない。

 3、○○○さんの監護に対する虚偽記載による印象および結論の操作

 谷村平林両家庭裁判所調査官は、これらの重大な内容の不記載の上、「家庭訪問の際の様子からは,長男の心身の状況に対する配慮が十分に行き届かない場面が見られた」と記載し、「原告を長男の親権者とせざるを得ないと考える」としている。

谷村平林両家庭裁判所調査官は、一体、○○○さんの家庭訪問で何を見ていたのか。
筆者は、両家庭裁判所調査官が、「誰か」の野心の実現のため、すでに決まっている審判の結論と○○○さんの長男○○○さんに対する愛情と監護の努力を貶める悪意を持って調査に臨んだと感じざるを得ない。

 請願理由二、の通り、○○○さんによる「川崎病を含め、長男○○○さんの健康状態は、その一切を○○○さんが配慮してきた」という発言は調査報告書には記載がない。
 同様に、請願理由三、2の通り、登園の安全を最大限考慮した○○○さんの事情についても一切の記載がない事は、すでに明らかにしている。

 これだけの監護の努力を尽くしても足りないという、谷村平林両家庭裁判所調査官は、一体、何をもってすれば、○○○さんの監護に配慮が見られるのか?
 子の監護の上で、リストカットや飲酒、交友などを重点に取り上げ、医療に関する重大な記載を大幅に行わず、居所の安全性に対する配慮は一切記載せず、「家庭訪問の際の様子からは,長男の心身の状況に対する配慮が十分に行き届かない場面が見られた」という谷村平林両家庭裁判所調査官の本件調査報告は、「誰か」の意図を反映したものなのかは不明であるが、最早、意図的な不記載や虚偽記載、悪意などと言うレベルのものではなく、子の利益と主権者である日本国民を欺くための捏造や不正という誹りをもって応じる外ないものである。


四、終わりに

 以上から、子の監護においては、子の利益の一部として、持病や健康状態に対する配慮や子供の生活圏の中で最も安全な場所を選べることも重要な基準であるべきにもかかわらず、谷村平林両家庭裁判所調査官は、調査報告において、○○○さんからの監護への配慮には、「母親なら当然」とでも言うが如く、その発言を記載しない事、原告側が子の健康状態に配慮していない事に触れない事により、原告側の監護体制への疑義を回避している。

また、そもそも、調査官の結論の根拠は、世帯人数の多さ、これに基づく安定した収入と監護体制のみであり、世帯人数は住民基本台帳を、収入は確定申告期に税務署から送られるデータに基づいて課税される住民税の記録を調べれば良い事であり、その調査は自治体の役場で行えば良い程度の、子の監護とは程遠い次元のものである。

そして、「日本の雇用の3分の1が非正規雇用」であり、「日本の子供の6人に1人が貧困」という国の調査がある中で、多くの家庭が無策な政府と無責任な経済界の保身のみの政策により、貧困と不安定な収入に苦しみ喘ぎながらも、共働きの中育児に勤しみ、子の利益を実現し続けている現実を軽視し、さも、貧困と不安定な収入を「特別監護に不適な家庭環境」と位置づけるが如く、世帯人数の多さと安定した収入を理由として原告側を評価、○○○さんとそのお母さまには疑念を呈し、多くの単身で子育する者を侮辱している。

よって、子に監護に関しては、○○○さん側の監護体制は充分なものであり、○○○さん側の監護については、意思疎通が充分ではないと結論した平成○年○月○日付の青森家庭裁判所家庭裁判所調査官の谷村和人さんと青森家庭裁判所八戸支部家庭裁判所調査官の平林未希さんによる調査報告書には、過失や事故では有り得ない、多くの重大な内容の不記載があり、これらに基づいた結論における検討も不足している事は明白である。

 これにより、調査報告は結論が操作されている部分があり、これがすでに決まっている審判結果を前提とした重大な結論操作なのかは不明であるが、極めて不公平な調査報告に基づく審判が公平なものであると信じる者はいないだろう。 また、百万歩譲って、裁判所と調査の公平性が損なわれている事実を放置したとしても、本件調査報告は、離婚後の監護に関して最も優先して考慮されなければならない子の利益を阻害する重大なリスクがあり、社会と公共の損害となるリスクを指摘して本請願を終える。


以上


さとうかずや(さとう社会問題研究所) 無断使用は禁止です。


さとう社会問題研究所「請願書」