さとう社会問題研究所は、2016年6月5日、東京家庭裁判所立川支部に対し、以下の内容の請願を行いました。
請願は郵送の形式によって行いました。

請願解説:

先月(2016年5月)は、親子断絶防止法の話に進捗があったようですが、未だ、親子断絶に苦しんでらっしゃる多くの別居親がいらっしゃいます。
さとう社会問題研究所でも、前回より1年以上経ちましたが、闘う主婦!さんを通じ、再び請願の依頼をいただきましたので、執筆させていただきました。

今回は、面会交流調停で作成された調査報告書に対する請願書です。

依頼者は、2012年の東京出張の際、直接お逢いした方で、当時は離婚裁判をなさっていました。
あの時から4年、ようやく、お声掛けいただけましたね。

さとう社会問題研究所では、裁判所や行政機関に対する請願書も、文章執筆提出業務としてお受けしています。(別料金です)

この件でも、裁判所は家庭裁判所調査官による調査を行いました。
調査は行われたものの、調査報告書の記述に対し、重大な懸念を抱かざるを得ない点が幾つも見受けられました。

特に、家庭裁判所の調停が密室で行われる事もあり、その過程で作成された調査報告は、調査官が「大前提に基づく特定の結論」に誘導するための、極めて一方的な姿勢に基づいています。

当然、こういう家庭裁判所調査官の職務に対する姿勢は、民法第766条で定められている離婚後の監護に関して最も優先して考慮されなければならない子の利益を阻害する重大なリスクとなっています。


本請願でも、これらの点を子細にご意見させていただきました。


今回も、闘う主婦!さんにはご協力いただきましたので、この場で感謝申し上げます。



請願書
(注:事件の特定につながる情報、当事者の個人情報に該当する部分は表示しておりません)


請願事件:

平成○年(家イ)第○○号 面会交流事件

請願事項:

私、さとうかずやは、日本国憲法第16条と請願法に基づき、平成○年(家イ)第○○号面会交流事件(以下、本件)について、以下の申し入れを行います。

平成〇年〇月〇日付の東京家庭裁判所立川支部家庭裁判所調査官の野末省吾さんによる調査報告書(以下、調査報告書)には、調査官の意見において、結論が操作されている部分があり、民法第766条で定められている離婚後の監護に関して最も優先して考慮されなければならない子の利益を阻害する重大なリスクがあります。

 そのため、本件の審判を担当なさる黒田真紀裁判官には、本請願書で指摘する、野末家庭裁判所調査官の提出された調査官の意見の中での検討不足及び結論が操作されている事による子の利益に対する重大なリスクを十分に考慮した上で、○○○○さんを法の正義と子の利益と称した孤独の闇に突き落とさぬよう、強く希望いたします。


請願理由:

一、本件の調査報告書の根本的な問題点

 1、決まった結論に導くため、重要な箇所が憶測に基づいて述べられている

 本件調査報告書に記載されている、野末家庭裁判所調査官が、その結果の中で、真に検討しなければならない監護におけるリスクを看過した事は明らかである。

調査報告書5頁 調査官の意見

1 調査結果のとおり、未成年者は、申立人との面会について、「連れていかれる。」という恐怖心を理由に明確な拒否姿勢を示した。調査官が、裁判所で会うのならそのようなことにはならないと説得しても、納得しなかった。未成年者が申立人に対する嫌悪感の理由として挙げたのは、判然としない内容ではあるものの、おそらくは申立人から相手方に送られたと思われる手紙又はそれに類するものの内容、及び申立人がカメラで相手方らを背後から撮影したとみられることである。後者は相手方が本件調停において申立人に対する不信感の一因として挙げていることでもある。
2 未成年者の申立人に対する嫌悪感は、相手方が申立人に対し抱く不信感と理由を同じくするところであり、未成年者が監護親である相手方の影響を受けていることは明らかだが、元を質せば、申立人の言動が相手方に不信感を抱かせている原因でもある。
3 未成年者の陳述から、相手方が未成年者に対し、どこまで積極的に試行的面会交流への動機付けを行ったかは疑問の余地があるところである。しかし、未成年者の申立人を拒絶する頑な態度を見る限り、仮に試行的面会交流が実施できたとしても、平成25年6月19日に実施したそれとほとんど変わらない状況が再現される可能性が高いと思われる。
4 未成年者がこのまま申立人に対し嫌悪感を抱いたまま成長することは望ましいことではなく、相手方には、未成年者の抱く申立人への嫌悪感を払しょくさせるような心がけが求められるが、一方、申立人にも、フェイスブックへの掲載といった相手方に不信感を抱かせるような行動をやめ、まずは相手方の抱く不信感の払しょくに努めることが求められよう。
5 現段階での未成年者の状況から判断する限り、直接交流への見直しは時期尚早とも思われるが、父親イメージの改善を図るためには、今まで一方的であった間接交流を、決められた範囲内で申立人から未成年者に手紙やプレゼントを送付することを認めるなど、双方向的なものにすることが方法としては考えられる。

調査報告書5頁1について、まず、未成年者の○○さんに対する嫌悪感の理由として、

「判然としない内容ではあるものの、おそらくは申立人から相手方に送られたと思われる手紙又はそれに類するものの内容、及び申立人がカメラで相手方らを背後から撮影したとみられることである。後者は相手方が本件調停において申立人に対する不信感の一因として挙げていることでもある。」

としている。

 まず、この調査報告書は、「調査結果を用いて結論に誘導するための憶測」から始まっているものであり、「調査の報告書」ではない。
 「調査の結果」としては、「未成年者の態度が父親に対する嫌悪感に満ちたものであり、それは、母親の影響であるとは思われるが、判然としないため、どうして良いのか分からない」という事である。

 そこに、野末調査官が、「誰かが望む結論」を導くための詭弁を弄しているのが本件調査報告書の正体である。

 2、一方の言葉のみに基づいて記されている事により、申立人が不利益な扱いを受ける

 本件調査報告書に限らず、家事事件の調査報告は、相手方側だけ調査を行っている事が多いらしく、それに基づいて調査報告書が作成されるため、一方的かつ反論できない申立人には極めて不利な内容となる事が多いらしい。

 以下に記す内容は、○○さんからは、ご自身でも調停の場で反論、抗議を行ったものとうかがっているが、本件調査報告の根本的な問題点を指摘する事実として、筆者からも改めて申し入れを行う。

調査報告書3頁5から
「自分は車、異父兄はロボット、異父姉はピアノを贈ってもらったと答えた」

となっているが、

まず事実関係から、○○さんによると、2014年、○さんにはミニカーとミニカーのコース、異父姉にはピアノを贈っている。
また、異父兄には贈っておらず、「そもそも、ロボットは贈ったことない」との事である。

この時、異父兄に贈らなかったのは、その前の調停で「異父兄だけはプレゼントを喜んでいないと聞いたから」だとの事である。

○○さんによると、贈った物の内容の相違について、○さんの思い違いもあるだろうが、2015年の年末にも、調停で相手方の同意を得て、プレゼントを贈った。

9月の誕生日とクリスマスプレゼントを兼ねて、『パイレーツ・オブ・カリビアン』の変身セット、機械式のシャボン玉の装置と、ドローンを贈った。

しかしながら、この事について、調査報告書にはまったく触れられておらず、○○さんご自身も、本当に相手方がプレゼントを渡したのか、不信感を抱かざるを得ないものとなっているとの事である。

また、 調査報告書5頁2から、

「元を質せば、申立人の言動が相手方に不信感を抱かせている原因でもある」

について、○○さんによると、その「言動」とやらには、まったく心当たりがなく、改善の余地もない指摘に対し、調停でも抗議したとの事である。

 たしかに、大事な調査報告の中、この書き方では、具体性に欠けながらも、思わせぶりな言葉により、○○さんの人柄の問題を暗に印象付けようとしただけのものとなっている。
仮に、○○さんに問題があるとして、「何をどう改善すべきか」が、まったく読み取れず、「誰か」が望む結論に誘導するための印象操作の役割しか有しておらず、親子関係の改善や維持などの「子の利益」の観点が完全に欠如している。

この調査結果と報告書の作成手順から、野末省吾家庭裁判所調査官が、相手方の話だけを聞いて、それをそのまま書いた事はうかがえる。
しかしながら、具体性に欠けつつも、一方的な調査の上、憶測に基づき安易に問題の存在だけをうかがわせる「意見」という名の放言をしている野末調査官の調査報告への姿勢は、予断に満ちすぎたものとなっていると言わざるを得ない。
そのため、当事者間の不信感を、家庭裁判所が調停を通じ、自ら作り出し、その紛争を激化させ、面会交流を申し立てた当事者には、「調査報告書」とやらで、一方的に罵詈雑言を浴びせかけ、それを口実に不利益を与えるためだけの場になっている、親子断絶司法の問題点を、本件調査官報告を通じ自白するだけのものとなっている。


二、親子関係維持のための努力を踏みにじる親子断絶司法が子供の利益を損なっている

 請願理由一、で指摘した本件調査報告書の根本的な問題点を踏まえた上で、結論に誘導するための憶測として、○さんの父親に対する嫌悪感と母親である相手方の不信感の原因として、○○さんが、「お子さんたちに手紙や贈り物をした事」を挙げている。
 しかしながら、この点について、筆者は、野末調査官の重大な心得違いに基づいている事を指摘する。

この○○さんの行為は、「親子の関係を維持するための努力」である。
野末調査官は、この事には一切触れず、ただ、嫌悪感を生み出すための問題行為としてのみ捉えている事に対し、通常、調査報告者に必要とされる調査結果に対する中立性や公平性に反していると指摘せざるを得ない。

また、日本では「DV防止法の支援」により、DVの防止とは明らかに目的を異にする「親子断絶」が社会問題となっている。
 この「DV被害者の支援」の美名のもとに行われている「離婚や別居後の親子断絶政策」は、離婚後の面会交流について定めた現行の民法766条の施行後も、裁判所の違法かつ恣意的な解釈と運用により、間接交流などと言う紛い物を持ち出し、法文を空文化し、わずかな期待にすべてをかけて調停に臨む別居親を愚弄し、子の利益を損ない続けている事は、この問題を知る者には周知の事実であり、報道でも取り上げられる事が増えている。

 さらには、DV防止法による支援と称した一方当事者に対する社会的排除政策及び裁判所による親子断絶政策は、多くの自殺者を出しながら、DV被害者保護や子の利益の美名の元に放置され続けている。

 裁判所による親子断絶政策の継続は、裁判所が、過去の政策の過ちを認めぬための、見苦しいあがきである事も周知の事実であり、それは、DV被害者保護や子の利益からは程遠い、多くの当事者を自殺に追い込んだ事に対する裁判官の道義的責任からの保身という野心に他ならない。

 その裁判官が自殺に追い込んだ当事者は、「子供の親」であり、司法は「子供から親を永久に奪い去る虐待」をしているという事実でもある。

 このような、国が別居親を殺害し、子供を虐待している社会状況下において、○○さんは、その不当且つ違法な親子断絶政策に抵抗し、親子の関係維持に粉骨砕身されている。
 その努力に対し、相手方の不信感と子供の示した嫌悪感のみで問題行動として指摘し、一方当事者の子供への想いを踏みにじる野末調査官の言葉は、「面会交流を申し立てた事に対する裁判所からの調査を口実とした法によらない制裁」であり、この調停と調査に対する裁判所の違法且つ不正な意図を自ら語る言葉であると断じる。


三、本件調査報告書の検討にある前提を無視した大きな矛盾

 ○さんに限らず、子の心理に最も大きな影響を与えるのは、最も長く過ごし、依存であっても愛着の形成に成功した身近な存在である事が一般的である。
 子供は、年齢が低いほど、親の影響を強く受けるものである。それは、良い影響だけではなく、悪い影響も受け易く、そのリスクは機能不全家族、虐待家庭として顕在化する。
本件では、○さんたちが長く過ごしているのは母親であり、最も影響を受けているのは当然、母親である。
 ○○さんは、面会交流どころか、強制分離時からお子さんたちと引き離されているため、お子さんたちの愛着と忠誠、葛藤などの対象は、当然、母親に対するものとなる。

 この調査報告書では、一見すると、「子供の意思」として、面会を拒んでいるという印象を受けるが、同時に、調査報告書5頁の2において、「母親の影響を強く受けている」とも書かれている。

 そのため、調査報告における○さんの○○さんに対する嫌悪感は、○さん自身のものではなく、夫婦関係の破綻により作り出された同居親のものであると考えるべきである。

 しかしながら、調査報告には、「父母の共同責任の産物である」と書くべきところ、野末調査官は、この点に敢えて触れず、「○○さんが写真を撮り、手紙や贈り物をした」ことにのみ原因を求めている。
 母子の言葉を忠実に記し、自らの手で「母親が子供に与えている悪影響」に触れながら、その先にある、「片親疎外」「アビューズ」「虐待の疑い」への言及を回避するため、その責任の所在を求めた結果、○○さんを「諸悪の根源」として、その行動のみを悪く評価し、「母親が子供に与えている悪影響」、その原因のすべてを○○さんに転嫁する形で意見を述べ、調査報告を歪めている。

 結果、「手紙や贈り物をし、背後から撮影した事」が、「万能且つ絶対の悪事」であり、「○○さんは手紙を送りプレゼントをし、背後から撮影した極悪人である」と言う印象操作を行っている。

 調査報告の作成権を濫用した、極めて、乱暴且つ一方的な原因の決めつけであると言わざるを得ない。


四、調査の中で顕れた監護上の重大なリスクへの言及を意図的に回避している点

調査報告書4頁(8)から
 (前略)「連れていかれるって言ってたから。」と答えた。「お母さんがそう言ってたの?」と尋ねると頷いた。(中略)調査官が、「お母さんが、お父さんに会えばって言ったら、どうかな?」と尋ねると、未成年者は「お母さんはそんなこと言わない。」と答えた。

とある。これは、子の利益に重大なリスクが顕在化している事の証左である。
同居親である母親が○さんに対し、そもそも、面会交流をできる環境を作る努力をしていない事を意味している。
それどころか、離婚後の面会交流を阻害し、子供の利益を損なう「片親疎外行為」を行っている事が明記されている。

 そもそも、同居親の影響を強く受けている子供が、同居親の勧めなく面会に応じる訳がない。
機能不全家族で説明するところの、「条件付きの愛情」と言う鎖、「親の愛情を失う事への恐怖や不安」、親が子供を支配する力が強ければ強いほど、子供は、「どんな理由を付けてでも」それを失わぬよう努力する事は、機能不全家族、虐待家庭で育った虐待被害者は、身に染みて理解しており、共依存関係について学んだ者ならば、その不健全な関係性の持つリスクを当然理解しているものである。

 しかしながら、国や裁判所は、「虐待を防ぐ」と掲げ、「子供の連れ去りを防止する」ハーグ条約に加盟しながら、今なお、同居親の立場を利用した、子供を使った別居親などに対する嫌がらせ「アビューズ」や「引き離し」を放置し、離婚後の親子断絶政策を継続し、多くの別居親を社会的に排除し、自殺に追い込む事で、「子供から親を永久に奪う虐待行為」を「子の利益」と称して行っている。

 面会交流は、子の監護の一部である。
子の成長とその利益の最大化のためには、別居親の存在とその交流が必要であり、同居親には「同居親自身の感情や利益」ではなく「子供の利益」の観点から、その環境整備をする義務がある。
 野末調査官は、同居親が別居親に対する不安を自分の子供に刷り込み、監護を怠っている事を自ら指摘しておきながら、その原因まで、○○さんに転嫁する事で、「同居親の監護上の問題」に対する言及を回避、「同居親である母親の監護の姿勢が子の利益を損なっている」という重大なリスクを意図的に看過し、「子の利益を損なっている原因は、○○さんが手紙を送り、写真を撮った事である」という卑劣な印象操作をしている。

さらには、

調査報告書4頁(9)から
(前略)やがて未成年者は、「お母さんたち遅いな。俺、見捨てられてる。」と言い、落ち着かない様子になったので、(中略)、未成年者との単独での面接時間は約30分間であった。

とある。
 この発言は、本調査報告の中で、○さんの心理に重大なリスクが顕在化していると感じなければならないものである。
 その上、先の通り、野末調査官は、○さん自身から、連れ去り不安に対する発言を得ており、同時に、同居親である母親から受けている影響の結果である事を自ら指摘しており、「何も考えず、決まった結論に向けた意見を述べているだけ」でないならば、当然、気付く事ができるものである。
 しかしながら、野末調査官は、その意見の中で、この発言にも触れていない。

 子供が、母親や兄弟と離れる事で不安や寂しさを覚える事は当然である。しかしながら、一般的に「見捨てられている」とは言わないのではないか?
 野末調査官は、「どうして、こんな言葉を使ったのか?」について、まったく思考も分析も働かせず、「誰かが望む結論」のため、安易な「○○さん極悪人論」を振りかざしている。

 近年、社会問題化している。「連れ去り」「引き離し」が子供の心理に与える悪影響として、「PAS」と呼ばれる片親疎外の症状の中に、「見捨てられ不安」があると指摘されている。
 もちろん、「子供の利益」を考えるため、「子の心情調査」と称して調査報告書を作成し、あまつさえ、裁判官に審判結果を左右する意見を行う、家庭裁判所調査官である野末省吾さんが、よもや、「PAS」や虐待家庭を意味する「機能不全家庭」を知らないなど、あろうはずがない。

 しかしながら、この、母親の監護の結果として、○さんに顕れている重大なリスクには触れず、「結論」を導くため、あらゆる悪影響の責任を申立人である○○さん一人に転嫁するための人格非難や侮辱の限りを尽くし、詭弁を重ねている。
結果として、面会交流の実現に否定的であり、かつ、その努力もしていない、一方当事者である母親の意向に沿う形で調査報告書を作成している事から、野末調査官が、「誰の意向」か、一方当事者に加担し、このリスクを故意に見逃していると感じざるを得ない。

 子の利益を考えるための子の心情調査を行い、そのリスクの萌芽を認めながら、一方当事者である同居親の意向に沿う形の調査報告を行う為、面会交流調停の申立人を侮辱する詭弁を重ねる野末調査官による本調査報告書は、調査官ご自身のものなのか、「誰か」の政治的野心である親子断絶の実現のための不正の産物であると言わざるを得ない。


五、そもそも、親子断絶政策とは児童虐待政策である

 離婚は夫婦の別離であって、親子の別離を意味するものではない。
 また、野末調査官は失念なさっているようだが、一方当事者である同居親のため、侮辱の論理を重ねた○○○さんは、○さんの父親である。
 相手方と○さんの心情のみを慮り、申立人である○○さんに対する侮辱を重ね、悦に浸るのは良いが、その侮辱の対象は、○○さんの血と遺伝子を引き継いでいる○○○○さんでもある。

 児童心理臨床や家族心理臨床において、離婚の際に最も気を遣わねばならないのが、離婚後の父母の関係が子供の心理に及ぼす影響である事は専門家に限らず周知の事実である。

 片親疎外として知られている、離婚による機能不全家庭が子供の心理に与える悪影響とは、子供の心が両親の間で引き裂かれる事によるものである。
 一方当事者が、子供に相手方の悪口を吹き込み、自らの味方となる様操作する行為は、子供に他方当事者である片親への想い、自らが相手方の子供でもある事に対し、罪悪感を植え付ける事でもあるため、PASや片親疎外に対しては否定的な心理臨床の専門家であっても、この行為が子の心理に与えるリスクは認識している。

同居親から見放されてしまう事に対する不安と、それから身を守るための忠誠を示し続け、同居親が嫌悪する別居親に対する想いを断ち切る努力もしなければならない。
その心理的負担が、子供の心理に悪影響を及ぼすと言うものである。
 だからこそ、○さんは、調査の中において、父親の存在を否定し、○○さんに強い嫌悪感を示し続け、その血と遺伝子を持っている事に対する罪悪感、周囲からの見えない攻撃から自分の身を守っている。

 これは、誰に対する行為なのか?まさか、分からないはずもない。母親のためである。
 面会交流に対する連れ去り不安、わずかな分離に対しても感じるほどの、強い「見捨てられ不安」、それらを○さんに刷り込んだ、母親に対し忠誠を示すためのものである。

 その複雑ゆえに慎重に見極めなければならない子供の心理を、たった30分の面接で理解できる訳もない。
 心理臨床や精神医学のプロならば、診断には半年以上の時間を掛ける場合もある。初回の3分面談でその判断を下せる名医は「ヤブ医者」と呼ばれ、その資質と能力を疑われる。
 家庭裁判所調査官としての職務上、1回限りのやり取りで、その判断を下す事の大変さは充分に理解できるつもりであるが、「決められた結論を導くための口実作り」の努力として○○さんの人格を侮辱し、親子関係の維持への努力を踏みにじる詭弁を重ねた結果、その言葉が○さんの心に更なる悪影響を及ぼす「子供に対する間接的な虐待行為」となっている事も、ここで指摘しておかねばならない。

さて、以上の事を弁えられていれば、本件調査報告書の様な、○○さんの親子関係を断絶させないための、あらゆる努力のすべてを、相手方とその影響を受けたと感知できている○さんの嫌悪感のみで問題視し、踏みにじる虐待行為が子の利益に大いに反している事は明白である。


六、面会交流は裁判所と同居親から別居親に対する恩恵ではない

調査報告書5頁より、野末調査官は、面会交流について以下の様に結論している。

5 現段階での未成年者の状況から判断する限り、直接交流への見直しは時期尚早とも思われるが、父親イメージの改善を図るためには、今まで一方向的であった間接交流を、決められた範囲内で申立人から未成年者に手紙やプレゼントを送付することを認めるなど、双方向的なものにすることが方法としては考えられる。

「手紙やプレゼントを送付することを認める」とはどういう事か?
○○さんは、○さんの父親であり、これは、夫婦の離婚でも揺らぐ事のない関係性である。
 それに対し、野末省吾家庭裁判所調査官は、「手紙やプレゼントを受け取ってくださる事」を「面会」という言葉に挿げ替え、恩着せがましく「裁判所が認める」とのことらしい。

 思い上がりも甚だしい。
 面会交流は、民法766条で定められている子供の権利であり、同居親の義務であり、裁判所も、子の利益を最大のものとするため、「面会」交流を促進する義務がある。

 その揚句、

調査報告書5頁4

 「未成年者がこのまま申立人に対し嫌悪感を抱いたまま成長することは望ましいことではなく、相手方には、未成年者の抱く申立人への嫌悪感を払しょくさせるような心がけが求められるが、一方、申立人にも、フェイスブックへの掲載といった相手方に不信感を抱かせるような行動をやめ、まずは相手方の抱く不信感の払しょくに努めることが求められよう。」

 とある。
 これは、一見すると、相手方と○○さんに対し、面会交流の実現に向けた双方向的な努力を求めている記述に見える。
 しかしながら、「子供を○○さんに逢わせたくない」と、極めて幼稚な理由で連れ去り不安を刷り込み、わずかな時間の分離にも耐えられない程の、見捨てられ不安に追い込んでいる相手方には「未成年者の抱く申立人への嫌悪感を払しょくさせるような心がけ」と、中身のない言葉でお茶を濁す。一方、○○さんに対しては、「フェイスブックへの掲載といった相手方に不信感を抱かせるような行動をやめ、まずは相手方の抱く不信感の払しょくに努めること」と、とても具体的かつ、「フェイスブックで行っている裁判所による違法な親子断絶行為への抗議活動を止める事」を違った言葉で要求している。

 これは、双方向的な努力ではなく、極めて片手落ち。揚句、「○○さんに対し、裁判所に対する屈服と隷従を要求するもの」であると言わざるを得ない。
この野末省吾家庭裁判所調査官から○○さんに示された、「裁判所に対する無条件降伏勧告」が、調査官ご自身のものか、「誰か」のものか、下らない事に興味もないが、その政治的野心、保身のため、見えない努力を重ねている事だけは見て取れるので指摘しておく。


調査報告書5頁3

 「未成年者の陳述から、相手方が未成年者に対し、どこまで積極的に試行的面会交流への動機付けを行ったかは疑問の余地があるところである。しかし、未成年者の申立人を拒絶する頑な態度を見る限り、仮に試行的面会交流が実施できたとしても、平成25年6月19日に実施したそれとほとんど変わらない状況が再現される可能性が高いと思われる。」

 野末省吾家庭裁判所調査官は、とても聡明な方なので、結果は既にお見通しの様である。

 調停では、相手方である母親は、○○さんへの不信を理由に面会交流を強く拒んでいる。
 野末調査官のご指摘の通り、○さんも、その母親の影響を強く受け、分離不安や連れ去りに対する不安を刷り込まれてしまい、面会を強く拒んでいる。

 これは、同居親である母親が、子供に対する義務を果たしていない事の証左である。
 それに対し、野末調査官は、「面会交流の実現が難しい。だから仕方ない」と、母親による不適切監護の改善などの指摘は一切行わず、○さんではない「誰か」のため、最も安易な結論に誘導するため、○○さんへの罵倒の言葉を並べ、返す言葉でその血と遺伝子を持つ○さんを侮辱し、詭弁を弄して自らの聡明ぶりを「誰かに」アピールしている。

 その結果、○○さんに対し、「国家による恩恵」として、手紙と贈り物をする事をお認め下さるという。
 これは、野末調査官によると、子供の利益を考えたという事だが、「お上」意識丸出しの、勘違いと思い上がりの産物、不正の上塗りの道義的犯罪であると断罪せざるを得ない。


七、そもそも、相手方の不信感の原因としているDV事実は認められていない

 野末調査官は、調査報告書5頁2において、

「未成年者の申立人に対する嫌悪感は、相手方が申立人に対し抱く不信感と理由を同じくするところであり、未成年者が監護親である相手方の影響を受けている事は明らかだが、元を質せば、申立人の言動が相手方に不信感を抱かせている原因でもある。」

 野末調査官は、本件調査報告書で、○○○さんを諸悪の根源と決めつけ、「犯罪者に対する黒田真紀裁判官による温情」として、手紙とプレゼントを認める事を提案している。

 しかしながら、野末調査官が、○○さんを諸悪の根源たらしめ侮辱し、詭弁を弄して自己満足の正義を振りかざし、変態的悦楽に浸っている根拠は、○さんの同居親である「元妻」の調停内での言葉のみである。
 この場合、○さんによる拒絶の言葉は、連れ去り不安や不信感にしろ、その母親の影響を強く受けていると、野末調査官御自らがお認めになっている以上、同居親によって作り出されたものである事を疑う必要がある。

 その同居親である○○さんの「元妻」の証言を、野末家庭裁判所調査官は、調査報告書において、「意見」と称した暴言と虚言の産物の中、まるで、「証拠に基づく事実である」という前提でもあるかのごとく取り上げている。

 しかしながら、この「家庭裁判所調査官の法によらない事実認定行為」には、○○さんに対し、充分な反論の機会が与えられていたのか疑問がある。
 ○○さんは、離婚に至る過程において、元妻によりDVの事実で訴えられたため、「DV被害者保護」の美名の元、自治体や警察から、様々な人権侵害を受け、強制別居の際には、令状によらず警察官に身柄を拘束され、その間に、家の財産を全て違法に持ち出された事実は、ここに記されず、○○さんを犯罪者の如く罵る言葉ばかりが並んでいる。

 さらに、野末調査官は、「手紙や贈り物をする事が問題だ」という詭弁を並べているが、○○さんに対しては、保護命令の申し立てもなされておらず、「DV行為で訴えられた」という事実だけがあったのみである。

 ちなみに、「DV行為で訴える事」は、誰でもできるのは、DV防止法の第三章に明文化されている通りである。
 証拠は不要で、かつ、行政職員には被害を訴えた方を保護する義務がある。
 しかしながら、現在行われているような、「加害者とされた方」に対し、あらゆる違法な社会的排除、人権侵害を行う権限まで与えている法律でもない。
 また、面会交流を認めない理由としても認める条文はない。

 しかしながら、それ故に、虚偽のDV事実に基づき相手方をDV加害者として訴える事で、自治体や警察、裁判所を使っての関係性攻撃、一方当事者による「でっち上げDV」や行政や司法による「DV冤罪」などと呼ばれる、当事者によるDV防止法の悪用と、それに乗じた国による人権侵害が社会問題化している事は周知の事実である。
 ちなみに、「関係性攻撃」というのは、「いじめ」などと同義である。
 要するに、裁判所や自治体、揚句、「民事不介入」である警察が、「いじめに加担している」という事である。

 さて、その後、離婚裁判でも、元妻は、口頭弁論においてDV行為の主張はしたものの、その立証を一切行わず、判決においても一切触れられていない。
 つまり本件は、民事訴訟法上、「DV行為はなかった」と解されるべき事案である。

 それに対し、野末省吾家庭裁判所調査官は、「子の心情調査」「子の利益」の美名の元、同居親の意を汲み、○○さんに対する不信感や嫌悪感の根拠として、立証行為すらしなかった事実を根拠に、○○さんの人格を否定し、罵詈雑言の限りを尽くし、返す言葉で○○○○さんの人格を否定し、「○○○さんの子供である事」を断罪している。

 これは明らかな裁判の否定であり、家庭裁判所調査官の職務としては重大な非行であると言わざるを得ない。

 また、相手方が別居の際に、○○さんの財産まで根こそぎ持ち出している事実について、相手方を経済的に虐げる行為は、「経済的DV」に位置づけられており、DV問題を所管する、内閣府男女共同参画局は、「別居の際には、自己の財産のみ持ち出し、相手方の財産を持ち出してはならない」と指導している事は、周知の事実である。
 しかしながら、裁判所を始め、自治体や警察なども、「DV被害者保護」と言いながら、一度訴えがあれば、その相手をDV加害者と決めつけ、あらゆる社会的排除、人権侵害の努力を惜しまず、さらには、DV被害者による財産の持ち出し、要するに、「DV被害者によるDV行為」は、その美名の元に正当化している。
 本件でも、野末調査官は、○○さんが、「手紙やプレゼントを贈り、写真を撮った」事を、まるで犯罪の如き重大問題として取り上げつつも、相手方が「他人の金を根こそぎ持ち出した事」については、一切触れない事で、相手方の問題行動の存在を隠匿し、○○さんの極悪人度を極限まで引き上げようと尽力なさっている。

 ちなみに、野末調査官が、調査報告の中で極悪人に祭り上げようと奔走している○○○さんは、○○○○さんの父親である事は重ねて指摘して置く。

 さて、野末調査官に限らず、裁判所や行政機関が、自己満足なDV被害者保護で悦に浸っているその結果、本当に悲惨な暴力により精神や思考を支配され、生命身体の危機にありながら、DV被害を訴える事もできない、本来、最も優先して救済されるべきDV被害者までもが、「でっち上げDV」やら「虚偽DV被害」やらと、その苦しみに疑いの目が向けられてしまっている状態である。

 ちなみに、筆者がご相談に応じてきた限り、親子断絶を希望したDV被害者は一人も存在していない。
 また、DV加害者に対しても、その人格などを否定する発言には極めて慎重である事が多い。
 なぜならば、面会交流をしようとしまいと、DV犯罪者如きが子供の愛を奪う事などできる訳もないからだ。
 生命身体の危機に陥るような暴力を受けながらも、親子断絶を望まない多くのDV被害者がいる中、裁判所にしろ行政にしろ、自己満足に過ぎない親子断絶政策でDV被害者を保護したつもりになって悦に浸る事も、これまで理不尽な配偶者間暴力により殺害されてきた多くのDV被害者の魂を冒涜するものであると断じる。

 最後に、改めて申し上げるが、野末省吾家庭裁判所調査官は、同居親である相手方の一方的な証言で、口頭弁論では立証活動を一切しなかった「DVの事実」とやらの予断に基づき、○○○さんを犯罪者扱いしている。
 これは、調査官調査に名を借りた重大な人権侵害行為であり、その意見には何らの根拠もない、「誰か」のための結論を導くための詭弁に過ぎず、その結果、本来最も考えなければならない子の利益、○○○○さんの利益を大きく損なうだけのものであると申し上げて本請願を終える。


以上


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さとう社会問題研究所「請願書」