さとう社会問題研究所は、2018年11月13日、千葉家庭裁判所松戸支部に対し、以下の内容の請願を行いました。
請願は郵送の形式によって行いました。
請願解説:
さとう社会問題研究所では、裁判所や行政機関に対する請願書も、文章執筆提出業務としてお受けしています。(別料金です)
今回は、裁判官の矛盾した対応に疑義を呈した請願書です。
特に、家庭裁判所の調停が密室で行われる事もあり、裁判官や調停委員の発言や対応が公のものとなる事は極めて少なく放置され続けています。
この点は、以前、共に請願活動を行っていた友人、闘う主婦!さんからも「調停員問題」として、指摘されており、その解決法の一つとして請願とその公開を行っています。
本請願では、簡潔な内容になっていますが、家庭裁判所の裁判官の矛盾した対応について意見をさせていただきました。
また、請願内では触れておりませんが、事前に行った依頼者とのスカイプ相談の際、日本で「面会交流」といわれているものは、「子供レンタル」であるとお伝えしています。
請願書
(注:事件の特定につながる情報、当事者の個人情報に該当する部分は表示しておりません)
請願事件:
平成○年(家)第○、○号 面会交流 審判事件
請願事項:
私、さとうかずやは、日本国憲法第16条と請願法に基づき、平成○年(家)第○、○号 面会交流 審判事件(以下、本件)について、以下の申し入れを行います。
○○○さんは、本件を担当なさる東海林保裁判官の矛盾した対応に対し、強い不安を訴えてらっしゃいます。
また、請願人である筆者も、第三者として、本件の在り様に対し、裁判所が当事者に対しとるべき公平性及び「子の最善の利益」に対する姿勢について、疑義と極めて強い懸念を覚えています。
そのため、千葉家庭裁判所松戸支部の東海林保裁判官には、「子の最善の利益」のためにも、本件の当事者に対する公平な対応及び民法第766条第1項並びに第2項を順守する立場から、○○さん、○○さんの母親である申立人だけではなく父親である○○○さんに対応していただく様、平にお願い申し上げます。
請願理由:
○○○さんは、特に、本件における以下の2点の対応に矛盾を感じており、本件の在り様に対し強い不安を訴えてらっしゃいます。
1、東海林保裁判官が、面会交流に関する調停条項について、現に当事者間でトラブルとなった事項に対する○○○さんからの申し立てには「理由がないから変更しない」と言いながら、2018年9月27日に提示した調停条項案では、申立人による「引っ越し」など、仮定の話に対しては、その変更を認めている事
2、東海林保裁判官が、「両者の同意がない内容は調停条項に入っていない」「調停条項は合意がないと変更できない」と○○○さんに説明しながら、その○○さんが同意していない内容については調停条項に記載されている事
請願人である筆者としても、これら2点に対しては、民法第766条第1項並びに第2項に定められた「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」という観点から、疑義と極めて強い懸念を訴えざるを得ません。
以下では、○○○さんが訴える、本件における裁判所の対応を通じて覚えた不安と、それが面会交流の関係者が最も考慮しなければならないと法律で定められている「子の利益」を大きく損なう理由について、日常生活程度の日本語しかお話になれない○○さんに代わり、私からご説明させていただきます。
一、「1、東海林保裁判官が、面会交流に関する調停条項について、現に当事者間でトラブルとなった事項に対する○○○さんからの申し立てには「理由がないから変更しない」と言いながら、2018年9月27日に提示した調停条項案では、申立人による「引っ越し」など、仮定の話に対しては、その変更を認めている事」について
面会交流は子供のためのものであり、別居親のためのものではない事は、既に最高裁判所が示している通りですが、その取り決めを行うための面会交流調停も、本来は子供のためのものであるという事です。
そして、これは、「同居親の利益こそ子供の利益である」という機能不全家族や虐待家庭において子供に自己犠牲を求める、いわゆる「毒親・虐待親」の立場を採らぬ限り、面会交流と面会交流調停が、同居親のためのものでもないという事でもあります。
当然、本件が、別居親、同居親、裁判所の「誰かのため」のものではなく、「誰かのため」の調停になってもならないという事でもあります。
しかしながら、
1、○○さんが求めている、「現に当事者同士が抱えているトラブル」については、「理由がない」などと、その解消を拒んでいる
2、同居親が求めた現時点においては仮定の話に過ぎない「引っ越し」については調停条項で採用している
この様に、○○○さんは、現に抱えているトラブルの解消に理由がないと無視されながら、同居親からの仮定の話は喜々としてフォローをする調停条項案を示されるという、矛盾した対応に非常に戸惑われております。
○○○さんが、本件において「学校行事」の定義を定める様お求めになったのは、
本件の調査報告26頁、「調査官の意見」にも、
2 面会交流の実情
現在は、概ね、取決めどおりに面会交流が行われている。申立人が特に問題としているところは、相手方が、週末に置ける学校関連行事への未成年者らの参加に理解がないこと、月に3回の週末を相手方宅で過ごすため、週末に行われる行事やイベントに未成年者らが参加することができないこと、面会交流中の食事内容、歯磨き等生活習慣の管理、宿題指導等の養育態度の問題があること、である。
とある通り、申立人から「相手方が、週末に置ける学校関連行事への未成年者らの参加に理解がない」「週末に行われる行事やイベントに未成年者らが参加することができない」などと指摘されているからです。
現在の面会交流において当事者間のトラブルの原因となっているのは「学校行事」を巡る解釈です。
その解釈と事前連絡の在り様に対し、○○さんには不明な点があり、その結果、行き違いによるトラブルとなり、お子さんたちも振り回される形になっています。
特に、調査報告で申立人より「○○さんには理解がない」とされている「学校行事」についても、その定義の解釈が母親である申立人に委ねられており、申立人には、ある程度事前に知らされているはずであろう「学校行事」。それによる「面会交流の中止」が、○○さんには期日の直前に知らされる事があった。
さらに、平成28年12月3日の面会交流は、「PTAの祭り」、平成29年11月4日は「渋谷区のパレード」を「学校行事」として面会交流が中止されている。
しかしながら、「学校行事」とは「授業の延長」であり、最広義の解釈でも「学校と言う教育機関が主体となって行われるもの」と○○○さんだけではなく筆者も理解しております。
それに対し、一般的に、PTAや地方公共団体の行事は「学校行事」と理解されているものでしょうか?
「PTA」は法律上も自治会などと同じ「任意団体」であり、文部科学省や教育機関としての学校の管理を外れた組織・団体です。
また、「渋谷区」も地方公共団体の事であり、「学校として参加」という理由でもなければ「学校行事」とは言えないものでしょう。
その「PTAや地方公共団体が行う行事」を学校行事として面会交流を取り止める解釈を採る申立人と○○さんとの間には、「学校行事」への解釈についてトラブルが存在しており、「客観的に把握できるような学校行事の基準」が本件において定められるべきであると希望するのは、充分な理由があると筆者は考えます。
文部科学省は、我が国の教育行政を担うため法律によって設置されている国家機関であり、そこが定め、最高裁判所も教員に対しては法的拘束力を認めている「学習指導要領」。
その、小学校学習指導要領の第6章、中学校学習指導要領では第5章でそれぞれ「学校行事」に関する定めが設けられています。
○○○さんとしては、本件において、この「学習指導要領」を基に「学校行事」を定義したいとご希望なさっています。
当事者の一方に解釈が委ねられ、いつ取り止めになるか分からない。最終的には裁判という手続きで解決をしなければならない現状に対し、第三者によって作られた客観的な基準を提案する事は、「学校行事への理解するための努力」として受け止められるべきものではないでしょうか?
これとは別に、平成29年8月26日と27日の面会交流は特に理由を知らされず、その上、平成30年9月8日と9日、9月29日と30日の面会交流は、「強制執行を理由に拒否」されたとうかがっています。
これらは、「学校行事」を理由としたものではなく、申立人の個人的な感情を理由としたもので、「子の利益」の立場からのものでもありません。
特に、「強制執行を理由に拒否」と言う事は、「○○さんによる法的手続きに対する実力による反撃、報復行為」であり、申立人は「子供のための面会交流」を「ご自身のため交渉の手段」としているという事です。
これは、法律の素人である当事者にとって、法的手続きもそれに対する「法律では認められていない実力による対抗措置」も、当事者間の感情の問題に過ぎないからでしょう。
しかしながら、これは「子の利益」が大きく阻害されている状態です。
強制執行は民事執行法で定められた法治国家における平穏な問題解決方法の手段ではありますが、事態に改善の必要がなければ執られぬ措置です。
面会交流の在り様、特に「学校行事」の解釈を巡り、改善すべき状況があるから執られた措置です。
それに対し、東海林保裁判官は、当事者が法的手続きに実力で対抗する事態に対し、当事者の一方である○○さんによる、この事態を打開するための具体的な「学校行事の基準」の提案を「理由がない」と司法の強権で踏み潰しました。
その上、もう一方の当事者である同居親が求めた現時点において仮定の話に過ぎない「引っ越し」については、調停条項で採用し、「同居親への格別の配慮」を示している。
この東海林裁判官の同居親に阿る対応に、○○○さんは、とても強い違和感と将来の面会交流への不安を覚えてらっしゃいます。
○○○さんによると、申立人はあるアメリカ人の男性と親密な関係にあり、お子さんたちだけではなく、○○さんご自身も、その方とお逢いになってらっしゃるとの事です。
もちろん、すでに離婚なさっている方ですので、○○さんも、申立人とその男性との関係は何ら問題とするところではないのですが、男性がアメリカ人と言う事で、申立人がお子さんたちを連れてアメリカに引っ越し、移住してしまうのではないか?と、今回の東海林保裁判官による調停条項の提案を受け、さらに不安になってらっしゃいます。
二、「2、東海林保裁判官が、「両者の同意がない内容は調停条項に入っていない」「調停条項は合意がないと変更できない」と○○○さんに説明しながら、その○○さんが同意していない内容については調停条項に記載されている事」について
(依頼者の特定につながる記述となっているため中略しています)
もちろん、調停の場でも、言うべき事はハッキリを仰っているとの事です。
しかしながら、○○さんの提案には「相手方の同意がないから変更できない」と言われたにもかかわらず、なぜか、「○○さんが同意していない相手方の提案」が調停条項に記載されており、本件において、○○○さんの存在と言葉が徹底的に蔑ろにされてしまっている事に対し、お子さんたちと逢えなくなる不安を募らせてしまっています。
最後に、○○○さんは、本件の調査報告7頁「5 本手続についての未成年者への説明」に「日本の裁判は母親に甘いから、二度とパパに会えなくなるかも知れない」と子供たちに伝えてしまっている様に、「日本において親子断絶が裁判所によって作り出されている」という実情を本件以前からご存知との事でした。
さらに上記の如く、本件が「子の利益」のためなどではなく「誰かのため」の調停になっていると疑われるような 極めて不公平な対応を受けていらっしゃる事により、さらに不安を募らせてらっしゃいます。
たしかに、申立人がお子さんたちを連れてアメリカに移住した場合、引っ越し後の面会交流の詳細は、アメリカの裁判所で行う事になるから、○○○さんの希望なさっている「学校行事」の詳細な定義付けを日本の家庭裁判所で行う事には「理由がない」。
その上、東海林保裁判官が、○○○さんが同意していない同居親の提案を調停条項に入れ、○○さんを調停の外の人としてその希望を無視する事で「同居親への配慮」を示し、それを「子の最善の利益」として、お子さんたちに押し付けようとしている事で、元より「日本の裁判は母親に甘いから、二度とパパに会えなくなるかも知れない」とお子さんたちに伝えるほどに不安になっていた○○さんは、ますます不安に駆られています。
この不安は、○○○さんと申立人との間で生じたものではありません。
筆者としては、東海林保裁判官には、同居親への配慮なのか「それ以外の特殊な事情」を理由としたものなのかは存じ上げませんが、本件において、徹底的に蔑ろにされてしまっている○○○さんが、申立人のお子さんである○○さんと○○さんの父親でもあるという事を思い出していただきたいと思います。
その上で、東海林裁判官には、別居親を裁判所として排除するという事が、別居親だけではなく同居親の「遺伝的な分身」でもある○○さんと○○さんを裁判所として排除する事と同義であるという事をご理解いただき、それを踏まえた対応をお願いいたします。
以上
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さとう社会問題研究所「請願書」