さとう社会問題研究所は、2020年2月21日、東京高等裁判所に対し、以下の内容の請願を行いました。
請願は郵送の形式によって行いました。

請願解説:

2020年3月10日加筆

請願書の裁判でのご使用について、クライアントから以下のご連絡をいただいておりました。

従来、お勧めしてきた「口頭弁論での主張および証拠として提出」に加え、

請願書内の文章を、ご自分の主張書面で採用し、自らの主張の根拠とした」との事です。


さとう社会問題研究所では、裁判所や行政機関に対する請願書も、文章執筆提出業務としてお受けしています。(別料金です)

さとう社会問題研究所では、不定期ながら放送も行っています。

請願に関するご説明なども、こちらで行っておりますので、気が向いたらお越しください

なお、放送についてはこちらで確認の上、ご参加ください。

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放送へのご参加に関する説明(アメブロ)


請願書
(注:事件の特定につながる情報、当事者の個人情報に該当する部分は表示しておりません)


請願事件:

○○年(○)第○○号 面会交流審判に対する抗告事件

請願事項:

私、さとうかずやは、日本国憲法第16条と請願法に基づき、○○年(○)第○○号 面会交流審判に対する抗告事件(以下、本件)について、以下の申し入れを行います。

○○籍の○○○○○さんは、本件の在り様に対し、非常に強い不安を訴えてらっしゃいます。

 また、請願人である筆者も、第三者として、本件調査報告書の記載から、本件の在り様に対し、裁判所が当事者に対しとるべき公平性及び「子の最善の利益」に対する姿勢について、疑義と極めて強い懸念を覚えています。

 そのため、東京高等裁判所の深見敏正裁判長裁判官、菊池絵理裁判官、齋藤充洋裁判官には、「子の最善の利益」のためにも、本件の当事者に対する公平な対応及び民法第766条第1項並びに第2項を順守する立場から、○○○○さんと母親である抗告人だけではなく娘さんである○○○○さんと父親である○○○○○さんにも対応していただく様、平にお願い申し上げます。

請願理由:

 ○○○○○さんは、特に、御庁田島朋子・河合紀子両家庭裁判所調査官が作成した、本件調査報告書にある以下の点に矛盾を感じており、本件の在り様に対し強い不安を訴えてらっしゃいます。

A、「調査官の意見」が面会交流の頻度がトラブルの元だという考えに基づいている事
B、「調査官の意見」が抗告人には一切の非がなく、○○さんが間接強制を求めたことを非難する表現の仕方である事
C、何より、娘さんである○○○○さんの希望だけが無視されていること

 請願人である筆者としても、これらの点に対しては、民法第766条第1項並びに第2項に定められた「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」という観点から、極めて強い疑義と懸念を訴えざるを得ません。

 以下では、○○○○○さんが訴える、本件における調査報告の内容を通じて覚えた不安と、それが面会交流の関係者が最も考慮しなければならないと法律で定められている「子の利益」を大きく損なう理由について、日常生活程度の日本語しかお話になれない○○さんに代わり、私からご説明、ご意見させていただきます。


一、本件が、○○さんとお子さんとのトラブルに乗じたものであるという点

 本件が、○○年8月29日付で原審の決定があり、同年9月24日付で抗告理由書が提出されている事から、一見すると、原審に対し抗告人が不服を申し立てる体を採っておりますが、実際には、同年7月27日、○○○○○さんと○○○○さんとの間で起こったトラブルが原因になっていると考えております。

 それは、原審と当審の間で請求内容に極めて重大な変更が行われた事からも明らかです。

 それまで、父親との面会交流に前向きだった長男さんが、自ら面会交流を拒絶するようになった事で、原審の請求には無かった「面会交流の有無については、未成年者らの意向等を最大限尊重するものとする」という主張を追加し、原審では請求していなかったにもかかわらず、この言葉がない事で原審の決定が子の利益が損なわれていると言い始めたとうかがっております。

 筆者がとても疑問に思っているのは、どうして抗告人さんが原審の段階から、「子の意思の尊重を主張していなかったのか」という事です。

 原審の段階では、お子さん達は面会交流に前向きであり、原審調査報告では、その「調査官の意見」の中で、お子さん達の言葉に反論する形で面会交流を減らすべしと述べておりました。

 これに対し、○○○○○さんは、「子供の意思を尊重し、現在の面会交流を維持して欲しい」と訴えていたところ、千葉家庭裁判所松戸支部の森冨義明裁判官は、お子さん達の意向ではなく、抗告人さんと千葉家庭裁判所松戸支部の浅岡彩、新井さおり両家庭裁判所調査官の意向を尊重し、ただ面会交流を減らすための決定をしました。

 つまり、原審の段階では、○○さん以外の誰一人として、抗告人さえも、お子さん達の意向を尊重しようとはしなかったという事です。

 それに対し、抗告人側は、○○年7月27日、○○○○○さんと長男、○○○○さんとの間で起こったトラブルにより、面会交流に否定的な態度を採るようになり、初めて「未成年者らの意向を最大限尊重する」という主張を加え、原審の決定を「子の利益を損なっている」と批判し、今回の抗告に至っております。

 請願人である筆者は、カウンセラーとして虐待被害者や精神疾患の患者さん方の対応もしている立場から、今回の抗告人側の行動に対し、大いに疑問を感じております。

 「未成年者らの意向の尊重」は、原審でも○○さんが主張しており、抗告人さんは主張しておりませんでした。

 それは、お子さん達が面会交流に前向きであり、「未成年者らの意向の尊重」とは、○○さんとの面会交流を維持する事を意味し、○○さんも、調査報告にあるお子さん達の言葉を希望にして原審に臨んでおりました。

 しかしながら、7月27日の件で、長男、○○○○さんとのトラブルを機に、面会交流を拒むようになり、同時に、抗告人さんから、「未成年者らの意向の尊重」を主張し始めたのは、抗告人さんにとって尊重されるべき未成年者らの意向とは、「面会交流に対し否定的である事」に限られているからではないのでしょうか?

 対して、○○○○○さんは、長男さんとのトラブルの後、長男さんとの面会交流を強要する事なく、抗告人さんに対しても間接強制を求める事もなく、未だ面会交流に積極的である長女、○○○○さんとの面会交流のみを継続しており、これは、筆者の助言なく行われている事であり、○○さんは抗告人の訴えや裁判所の判を待つまでもなく、お子さん達の意向を尊重なさっております。

 つまり、この抗告を必要としていたのは、抗告人さんだけであり、利益を得られるのも抗告人さんだけだという事です。
トラブルがあったからこそ、抗告人側は不安定になっている長男さんの心と父親との関係を決定的にさせる訴えを起こす必要があります。

 ちなみに、わたくしは○○さんのカウンセリングをしている立場から、抗告があった後、この件の報告を受け、

「対人関係の問題を当事者間の話し合いだけで解決するのは極めて困難」
「最大の失敗はご自分で解決できると考えた○○さんの不明」

「年齢的にも反抗期だろうから、長男さんの成長だと思って、落ち着くまで様子を見ましょう」

と助言させていただいております。

 ただ、子供の不幸に乗じて行動を起こすというのは、親としていかがなものかと思いますけどね。


二、本件抗告理由書について

本件抗告理由書の2頁「第1、緒論」の中で、

「面会交流の実施に当たって未成年者らの意思の尊重について明記がない点及び一般的な事案に比べて多数回の面会交流を認め、未成年者らと母としての抗告人との交流を軽視している点において不十分なものとなっている」

から始まり、

同じく2頁「第2、面会交流の実施に当たっては、未成年者らの意向等を最大限尊重する旨の記載について」にある「1 面会交流について」の中で、何故か国家間の取り決めである「児童の権利に関する条約」を持ち出し、

「同条約においては、面会交流は、離別している親が子に会う権利として構成されるべきものではなく、むしろ子の権利として捉えられるべきものである事を宣明している」
「以上のような経緯からすれば、面会交流とは、子に対する親権に由来する義務的なものであると同時に、親からの監護及び教育を受けるための子の権利でもあると解されるべきであり、面会交流においては、未成年者をして単なるその客体であると捉えるべきではないことは明らか」であり、
「子の意思を無視して面接交流が行われるべきでないことも当然の帰結である」

と述べている。

さらに、「2、本件における事情など」では、4頁

「ウ しかしながら、相手方は、上記の通り面会交流を自らの権利であると捉えて、未成年者らの意向を顧みようとしない。
 そして、いままでの経緯を見ても、学校行事のために調停において定められたとおりの時間に面会交流が実施できなかった日(学校行事に参加した後に相手方との面会交流が実施された日があった)について、条項どおりに面会交流が行われなかったとして間接強制として抗告人の預金の差押えを行っており、今後においても、その態度は変わるところはないものと考えられる。
 したがって、面会交流は子の権利と言う面があり、また、あくまでも面会交流は子の利益のために行われるべきものであって、未成年者らの意向を尊重する必要がある事を相手方に充分に認識してもらう必要がある」

と述べていらっしゃいます。

「面会交流の実施に当たって未成年者らの意思の尊重について明記がない点」については、前述しており、こちらでは省略させていただきます。

1、「一般的な事案に比べて多数回の面会交流を認め、未成年者らと母としての抗告人との交流を軽視している点において不十分なものとなっている」について

 日本では裁判所が親子断絶を是としており、これが社会問題となっている中、抗告人さんは、珍しく面会交流に理解のある母親として、6年間、○○さんと共にお子さん達を養育して来られたのだと筆者は受け止めておりました。

 ○○さんも主張していらっしゃる通り、筆者も、平日は抗告人さんが、休日は○○さんが、お子さんたちと共に過ごす事で、交流を分け合っているものだと理解しておりました。

 ○○さんが、お子さん達の成長に伴い、面会交流が目に見えて減少している事、これから減少するであろうことを充分に受け止められているにもかかわらず、抗告人は「一般的な事案に比べて多数回の面会交流を認める事が、未成年者らと母としての抗告人との交流を軽視している」と面会交流を被害的に捉えていらっしゃるとの事。

「抗告理由書」という事なので、抗告人さんか抗告人側代理人さん方、どちらのお考えかは分かりませんが、「面会交流」が「抗告人さんとお子さん達との交流を軽視する加害行為」であり、○○さんを「面会交流を求める加害者」だと捉えてらっしゃるのがよく伝わり、この主張こそ、抗告人が面会交流に対し理解が無く、非協力的である事の有力な証拠だと言わざるを得ません。

2、「面会交流においては、未成年者をして単なるその客体であると捉えるべきではないことは明らか」について

 抗告理由書の全体から、抗告人さんか抗告人側代理人さん方、どちらのお考えかは分かりませんが、面会交流に関する裁判を抗告人さんを被害者とする裁判とし、加害者である○○さんが、お子さん達を物の様に扱い、厚かましく面会交流を求めているかのように述べられておりますが、本件を申し立て、抗告し、お子さん達を客体にしていらっしゃるのは、他ならぬ抗告人さんご自身です。

 そもそも、日本の法律上、裁判の制度上、親同士で子供の面会交流について裁判を申し立てる以上、子供が客体にならない道は存在しない。

○○さんも、この事は充分に理解できており、一度として、抗告人さんが法的手続きを執った事について、「子供たちを物扱いするな」という趣旨の非難をした事はありません。

 未成年者らを単なる客体にしてしまっているのは、訴訟上の便宜的な構造であり、法律上の問題。面会交流を取り巻く法制度の未熟、立法不作為によるものです。

 その非難は国会に対し、法改正を訴えるなどの形で行うべきものであり、本件抗告理由書において、○○○○○さんの面会交流に対する姿勢を非難する理由として持ち出された事。
 この抗告人さんか抗告人側代理人さんかは分かりませんが、その姿勢こそ、抗告人が法律に対し理解が無く、お子さん達を客体とみなしている事の表われではないのでしょうか?

3、「条項どおりに面会交流が行われなかったとして間接強制として抗告人の預金の差押えを行っており、今後においても、その態度は変わるところはないものと考えられる」について

抗告人側は「面会交流は子供の利益のためのものであり、別居親のためのものではない」と繰り返し主張し、○○さんによる抗告人の面会交流の不履行に対し行った間接強制を、悪事として指摘しており、○○さんが最も困惑している点となっていると思われます。

 そもそも、面会交流の不履行に対し間接強制を認めたのは、最高裁判所であり、

日本国憲法では第81条では、
最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

と定められており、その法律の解釈や法的な判断は刑事、民事ともに下級裁判所の判断を拘束するもので、刑事訴訟法第405条第2号、民事訴訟法第318条第1項でも、判例違背は上告理由となる事が定められているなど、法律そのものではないものの、最も権威のある法律判断として社会的にも認知されているものです。

 間接強制が認められるには、幾つかの条件がありますが、○○さんも、抗告人が面会交流に対し、非協力的であった場合にのみ申し立てており、未成年者らの意向を無視することを目的として申し立てたものではありません。

 ○○○○○さんも、最高裁判所平成25年3月28日決定に従い、間接強制の申し立てを行っており、その申し立ては裁判所によって正当なものとして認められております。

 間接強制とは、国会が定めた平穏な解決方法です。
民法第414条に履行の強制の定めがあり、そのための法律として民事執行法などが定められており、最高裁判所も、平穏な解決のため、面会交流の不履行に対し、間接強制をお認めになったのだと理解しております。

 対して、抗告人さんか抗告人側代理人さんかは分かりませんが、抗告人側はこの間接強制を○○さんが悪事でも行っているかのように抗告理由に加え、「○○さんが改めるべき態度として弾劾」しており、筆者は、抗告人側による反社会的な、反法治主義的な弾劾に対し、抗告人側の親として、弁護士としての資質を疑わざるを得ません。

 抗告理由書では、「未成年者らの意向」や「子の利益」を前面に語り、

○○籍の○○さんに日本国民としての義務や国家間の取り決め事である条約を理由に、学校行事が面会交流に優先するとしながら、

その「学校行事」の定義を明確にする事を原審の千葉家庭裁判所松戸支部の森冨義明裁判官、東海林保裁判官と共にこれを拒絶。

 何が学校行事かを明確にしないまま、ただ○○さんが抗告人に従う事のみを要求し、

 建前上、面会交流も大切だと言いながら、自らは、その客観的に理解できないものを理由に面会交流に非協力的であり、

それを理由に、「法に基づいた正当な手続き」を申し立てられ、それを被害的に受け止め、

自分の子供が「間接強制を学校行事に参加した事の罰金」(被抗告人側○○年11月6日付主張書面4頁)など誤った解釈で受け止めている事を知りながら、

親として専門家として、その重大な誤りを修正しようともせず放置し、敢えて子供の○○さんに対する憎悪を掻き立てた。


 ○○○○○さんは、ただでさえ法律の知識が無く、法律の専門的な説明ができる日本語力もない。
 抗告人および抗告人側代理人は、「子の利益」を語りながら、自分たちにできる事、自分たちにしかできない事をしていない。

 抗告人さんや抗告人側代理人さんは、○○○○さんが、間接強制を「学校行事に参加した事の罰金」という法律上の曲解を受け、成長し社会に出た時のリスク、危機感を覚えなかったのでしょうか?

 ご自分たちにとって都合が良いから、むしろ憎悪を掻き立てられてお慶びになっていらしたのでしょうか?
 筆者は、この点が不思議でなりません。

4、抗告人側が「子供の客体化」と法律を非難し、○○さんが「未成年者らの意向の尊重していない」と言いながら、自らは面会交流を減らすため訴えを提起し、お子さん達を客体化している事の矛盾

 そもそも、どうして、お子さん達に面会交流調停を申し立てさせず、ご自分が抗告なさっているのか?
この点も不思議でなりません。

 もちろん、日本国憲法第32条がありますので、抗告を非難するものではなく、子の利益を語りながら、子の利益を追求する道を閉ざした事に対する疑念です。

 家事事件手続法では、以下の定めがあり、子供が自ら面会交流調停を申し立てる事が認められております。

第二百五十二条 次の各号に掲げる調停事件(第一号及び第二号にあっては、財産上の給付を求めるものを除く。)において、当該各号に定める者は、第十七条第一項において準用する民事訴訟法第三十一条の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。
一 (省略)
二 子の監護に関する処分の調停事件(別表第二の三の項の事項についての調停事件をいう。) 子

 ただし、本人手続が可能であり、お子さんたちが「自分でやりたい」と思っていても、 法的知識の不足など、ままならぬことがあり、手続に支障が出る恐れと言うのは考えられると思います。

そのため、

第二十三条 手続行為につき行為能力の制限を受けた者が第百十八条(この法律の他の規定において準用する場合を含む。)又は第二百五十二条第一項の規定により手続行為をしようとする場合において、必要があると認めるときは、裁判長は、申立てにより、弁護士を手続代理人に選任することができる。

という条文が用意されております。

 つまり、子供の客体化が不満なら、子供を主体にすれば良く、ご自分が子供の意向を尊重したいのなら、子供自身に裁判をさせれば良い。

 もしかしたら、抗告人さんや抗告人側代理人さんが、この事を知らなかったのでしょうか?

 しかしながら、先の通り、抗告人側は抗告理由書の中で、

「相手方は、上記の通り面会交流を自らの権利であると捉えて、未成年者らの意向を顧みようとしない」と、

○○○○○さんを私欲に囚われ人の心を解さぬ「人でなし」であると人格を貶め罵倒し、

「条項どおりに面会交流が行われなかったとして間接強制として抗告人の預金の差押えを行っており、今後においても、その態度は変わるところはないものと考えられる」と、

「法律や最高裁判所の判例に従って行動している事」すなわち「順法」まで非難し、

「面会交流は子の権利と言う面があり、また、あくまでも面会交流は子の利益のために行われるべきものであって、未成年者らの意向を尊重する必要がある事を相手方に充分に認識してもらう必要がある」

と、「一方当事者に過ぎない抗告人に従い面会交流を減らす事に同意しない事」、抗告人さんが自ら裁判まで提起しながら、「○○さんがご自分の意見を述べる事」に対し、説教まで垂れている。

この事からも、抗告人さんや抗告人側代理人さんは、完璧な人間であることがうかがわれ、筆者の様な間抜けからすれば羨ましい限りの御仁です。

 ここまで人様を貶め罵る方たちなのですから、すなわち全知全能。知らない訳がなく、「知ってて敢えて知らせなかった、偽りを伝えた」と考えるのが自然です。

 もしかしたら、「お子さん達の精神的な負担が」という事かも知れませんね。

 この「裁判に関わる事による子供の精神的な負担」についても、○○○○さんは、ご自分から裁判官に陳述書を書いておりますし、抗告人が真に子供の利益を考える親であるならば、その負担を教え、その軽減のために力を尽くすべきであり、抗告人さんがお子さん達から裁判に主体的に関われる機会を奪う理由にはなりません。

 むしろ、学校行事より貴重で社会人として有益な体験になるのでは?と筆者は考えます。

 しかしながら、抗告人さんと抗告人側代理人さんは、「未成年者らの意向の尊重」をうたい、○○さんを「子供の意向を尊重しない人でなし」と罵りながら、あくまで「原審が自分の意のままにならなかった事」を不服として抗告し、○○○○さんが、自分で裁判官に意見したいという想いも、陳述書と言う形でお茶を濁してしまいました。

 「未成年者らの意向の尊重」は、原審でも○○さんが主張しており、抗告人さんは主張しておりませんでした。
 なぜなら、お子さん達が面会交流に前向きであり、「未成年者らの意向の尊重」とは、○○さんとの面会交流を維持する事を意味し、○○さんも、調査報告にあるお子さん達の言葉を希望にして原審に臨んでいたからです。

 しかしながら、7月27日の件で、長男、○○○○さんとのトラブルを機に、面会交流を拒むようになり、同時に、抗告人さんから、「未成年者らの意向の尊重」を主張し始めました。
これは、抗告人さんにとって尊重されるべき未成年者らの意向とは、「面会交流に対し否定的である事」に限られているからではないのでしょうか?

仮に、お子さんたちが自ら面会交流調停を申し立て、抗告人さんが関わる事ができなくなった手続きの中で、余計な事、抗告人さんにとって都合の悪い事を主張できない様、あくまで「子供の意向の尊重」を前面に、自らの意向に沿う様、事を運ぶ必要があったのではないのでしょうか?

 もし、そうだとすると、抗告人さんの主張に従わず、ご自分の意見を主張し続ける○○さんが、子供の意向を尊重しない「人でなし」であると言う抗告人さんと抗告人側代理人さんによるご指摘は正当なものです。


三、調査報告書から見える本件の在り様に対する疑義

 さて、冒頭の繰り返しになりますが、○○○○○さんは、特に、御庁田島朋子・河合紀子両家庭裁判所調査官が作成した、本件調査報告書にある以下の点に矛盾を感じており、本件の在り様に対し強い不安を訴えてらっしゃいます。

A、「調査官の意見」が面会交流の頻度がトラブルの元だという考えに基づいている事
B、「調査官の意見」が抗告人には一切の非がなく、○○さんが間接強制を求めたことを非難する表現の仕方である事
C、何より、娘さんである○○○○さんの希望だけが無視されていること

こちらについても、ご説明及びご意見をさせていただきます。


1、東京高等裁判所の家事事件の判決には「大前提があるんだよ」について

 本件が東京高等裁判所(以下、御庁)で行われているとの事で、10年ほど前になりますが、平成○○(○)○○ 離婚等請求控訴事件及び平成○○(○)○○ 離婚等請求附帯控訴事件の口頭弁論の中で、当時の担当裁判官より、

「家事事件の判決には大前提がある」

という発言があり、

「家事事件は裁判をする前から判決が決まっている」「公平な裁判は行わない」という宣言がなされたのは、当事者ご本人のアメーバブログの記事でも取り上げられており、わたくしも存じ上げております。

たとえば、御庁管内の家事事件ですと、東京家庭裁判所立川支部平成○年(○)第○○号 面会交流事件では、○○○さんが、離婚裁判の際、相手方が主張しながら立証活動を行わなかったDVの事実を訴え、面会交流が認められませんでした。
他にも、宇都宮家庭裁判所平成○年(○)第○○号面会交流申立事件および東京高等裁判所平成○年(○)第○○号面会交流審判に対する抗告申立事件では、○○○さんが、どういう面会交流が子供の福祉に適うのかを検討されないまま、一方当事者に過ぎない相手方の心情と事情に対する裁判所からの格別の配慮という理由だけで面会交流が認められませんでした。

 今回は、2件のみご紹介させていただきましたが、特に、「一方当事者に過ぎない相手方の心情と事情に対する裁判所からの格別の配慮」とは、「大前提」の事でもあり、東京高裁の管内で行われる家事事件は、裁判が始まる前から判決が決まっているという裁判官自身の宣言通りに行われている事が分かります。

 しかしながら、面会交流は子供のためのものであり、別居親のためのものではない事は、既に最高裁判所が示している通りであり、その取り決めを行うための面会交流調停も、本来は子供のためのものであるという事は、当然の事と思います。

 そして、これは、「同居親の利益こそ子供の利益である」という機能不全家族や虐待家庭において子供に自己犠牲を求める、いわゆる「毒親・虐待親」の立場を採らぬ限り、面会交流と面会交流調停が、同居親のためのものでもないという事でもあります。

 当然、本件が、別居親、同居親、裁判所の「誰かのため」のものではなく、「誰かのため」の調停になってもならないという事でもあります。

 ○○○○○さんにも、この「大前提があるんだよ」と、始まる前から既に判決が決まっており、公平な裁判が行われる事はないとはお伝えしており、○○さんも、抗告人にとって有利な判決となる事については、受け入れていらっしゃるとの事です。


2、本件調査報告書の問題点について

 ○○○○○さんが、本件調査報告から感じた3点は、

A、「調査官の意見」が面会交流の頻度がトラブルの元だという考えに基づいている事
B、「調査官の意見」が抗告人には一切の非がなく、○○さんが間接強制を求めたことを非難する表現の仕方である事
C、何より、娘さんである○○○○さんの希望だけが無視されていること

との事ですが、筆者は、東京高等裁判所の深見敏正裁判長裁判官、菊池絵理裁判官、齋藤充洋裁判官の命により調査を行い、調査報告を作成した御庁田島朋子・河合紀子両家庭裁判所調査官が、調査の中で、「抗告人による子の利益を損なう行為」が明らかになっているにもかかわらず、

抗告人側に不利となるため、調査を命じた「何者か」によって報告不要とされたからなのか、

「面会交流を減らす」という口実作りのための調査であり、「子の利益」やら「子の意向の尊重」など、毛頭不要だったからなのか、

「子の意向の尊重」、すなわち「面会交流を減らす」という「大前提」に基づいた意見のみを行っている事で、調査に携わる者として極めて不公平な立場を採っている事が、○○さんがこの様にお感じになった原因であると考えております。

そこで、本請願書では、御庁田島朋子・河合紀子両家庭裁判所調査官が、敢えて看過した「お子さん達の利益が損なわれている点」、すなわち、以下の3点についてご意見させていただきます。

本件調査報告「(2) 長男の陳述要旨」8頁、「ウ 父母間の紛争についての認識」から

 1、「中学2年生になり、面会交流に時間通りに始めない事で、「罰金(間接強制のこと、長男はあえて罰金と呼んでいるとのことである)」が発生することを知り、納得できなかった」という記述

「(2) 長女からの聴取内容」10頁、「ウ 父母間の紛争についての認識」から

 2、「また、「家で相手の悪口を言わないでほしい。」とはっきりとした口調で述べた。
「お父さんはお母さんの悪口をなるべく言わないようにしてくれているけど、お母さんとお兄ちゃんは時々、お父さんの悪口を言っていて、やめてほしいと思う。」という。長女は父には相手(母の)悪口を言わないでほしいと伝えたことがあるが、母には伝えたことはないとのことであった。長女は「悪口を何回も聞いたら、本当に悪いのかそうでないのか分からなくなっちゃう。」と困った表情で述べた」という記述。

「調査官の意見」11頁、「2 子らの意向・心情」

(1) 長男の意向・心情から

 3、「長男は、子らが学校生活に意欲的に取り組んでいるにもかかわらず、定められた面会交流の実施方法に則して面会交流がされないと判断され、母が間接強制を受けるということは理不尽であると感じている」という記述

 この1、と3、の記述は、「長男さんが間接強制に対し、誤った認識を持ってしまっている」事であり、2、の記述は抗告人が陳述書や抗告理由書で主張している内容に疑義が生じる事になります。

2、の疑義が生じる抗告人の陳述や主張内容とは、平成31年2月14日陳述書4頁、「抗告人が○○さんの悪口を言わぬようにしている」という記述。

抗告理由書5頁「抗告人は、未成年者らが父親である相手方との良好な関係を築き、面会交流が円滑に行われる事を望んでおり、未成年者らの意思を盾にとって相手方との面会交流を妨げようなどとは微塵も考えていない」

などに疑義が生じる事になります。

 本請願書の請願理由「二、本件抗告理由書について」の「3、」でも触れましたが、抗告人さんや抗告人側代理人さんは、この○○○○さんの法律や制度に対する曲解や誤解を放置しており、調査でも、これが明らかでありながら、調査官の意見でも馬鹿の一つ覚えに「面会交流の削減」のみ唱えており、御庁田島朋子・河合紀子両家庭裁判所調査官が、抗告人側の姿勢を問題視しなかった事は、法と証拠の場である裁判所の職員としてあるまじき不正であり、裁判所として子の利益を考慮していないという姿勢の表れではないのでしょうか?

○○さんが「調査官の意見」から、「抗告人には一切の非がなく、○○さんが間接強制を求めたことを非難する表現の仕方である」とお感じになっているのは、長男○○○○さんの間接強制に対する曲解や誤解を確認し、それを法律の専門家まで雇っている抗告人が放置している事が明らかとなっているにもかかわらず、馬鹿の一つ覚えに「面会交流の削減」のみを唱えていらしたからだと思われます。

 また、○○○○さんが、調査の中、「抗告人さんと長男さんが、○○さんの悪口を言っている」「悪口を何回も聞いたら、本当に悪いのかそうでないのか分からなくなる」と述べており、御庁田島朋子・河合紀子両家庭裁判所調査官は、娘さんが明らかに苦痛を感じているであろう事を知りながら、これを問題視しなかった事は、この調査が、「子の意向の尊重」ではあるものの、「子供自身の意向の調査」ではなく、「子供以外の誰かの意向の尊重」を目的としたものだからではないのでしょうか?

○○さんが、「調査官の意見」から、A、「面会交流の頻度がトラブルの元だという考えに基づいている」。C、「娘さんである○○○○さんの希望だけが無視されている」とお感じになっているのは、御庁田島朋子・河合紀子両家庭裁判所調査官が、娘さんの言葉を取り上げず、馬鹿の一つ覚えに「面会交流の削減」のみを取り上げていらしたからだと思われます。


四、本件の「子の意向の尊重」に対する疑義

 「子の意向の尊重」とは、一体何を意味するか?という点についてご意見させていただきます。

 「条件付きの愛情」と言われるものですが、虐待家庭、機能不全家族では、子供は親、虐待者や家庭の支配者に従っている時のみ、虐待者、家庭の支配者である親の愛情を受ける事ができます。

 請願理由一、において、○○年7月27日の件で、長男、○○○○さんとのトラブルを機に、面会交流を拒むようになり、同時に、抗告人さんから、「未成年者らの意向の尊重」を主張し始めたのは、抗告人さんにとって尊重されるべき未成年者らの意向とは、「面会交流に対し否定的である事」に限られている、とご指摘させていただきました。

 また、請願理由三、では、○○○○さんが、抗告人が、陳述書や抗告理由書にある記載とは異なり、長男さんと○○さんの悪口を言い合っている事があり、また、○○さんには抗告人の悪口を言わぬ様、求める事ができているが、未だ同居の母親である抗告人さんには、○○さんの悪口を言わぬ様、求める事ができていないとの事です。

 そして、本調査報告の調査官のご意見から、この娘さんの言葉を重視しなかった御庁田島朋子・河合紀子両家庭裁判所調査官、それと、調査を命じた深見敏正裁判長裁判官、菊池絵理裁判官、齋藤充洋裁判官にとっては、「子の意向の尊重」というものは、「子供自身の意向の尊重」という意味ではなく、「子供以外の誰かの意向の尊重」ではないかという事もご指摘させていただきました。

 そのため、本件で抗告人側が主張している「子の意向の尊重」という言葉が、随分と胡散臭いものとなっております。

 では、「子の意向の尊重」を「子供自身の意向の尊重」と解した際、今の○○さんとお子さん達との関係はどうなるのでしょうか?

離婚後の親子関係を、子が一方的に決める権利が与えられるという事です。

 特に、本抗告では、長男、○○○○さんが、民事上、数少ない平穏な解決方法である間接強制について理不尽なものと誤解をしており、親である抗告人さんだけではなく、法律の専門家である抗告人側代理人さんも直接お話しした御庁田島朋子・河合紀子両家庭裁判所調査官、それと、調査を命じた深見敏正裁判長裁判官、菊池絵理裁判官、齋藤充洋裁判官も、これを放置するようです。

 そして、そもそも、どうして長男さんは、○○さんが間接強制を理不尽だと感じてしまうようになったのでしょうか?
 近年でも、「有給休暇を採用していない」という企業経営者がいるなど、多くの法律に対する誤解は、無知の上に、経験的にもたらされる中途半端な情報に基づいた、自己解釈や自分に都合良い解釈からもたらされるものです。
 本件調査報告書4頁では、長男さんは、母親である抗告人さんが学校の先生から助言を受けたとは言え、家計の状況と併せて間接強制に関する話を聞かされた事に拠り、間接強制を「学校行事に参加した事の罰金」と受け止めてしまった。

 それも無理からぬ事でしょう。
 昭和58年の隣人訴訟でも、国の力、法律を使った金銭による解決に対する生理的な嫌悪感が、当事者に対する違憲、違法な行為と言う形で心理的な圧力となり、日本国憲法第32条で定められている裁判を受ける権利を侵害する事となりました。

 法律を正しく理解できていない、一方当事者である抗告人が説明をする事で、長男さんの反発を引き起こすであろうことは容易に想像できたはずです。
 なぜなら、請願理由二、の3、でも述べた通り、抗告人ご自身が、間接強制に対する反発を抗告理由として申し立てているからです。

 そんな抗告人さんが、知りもしない専門的な説明を、適切に行う事などできたのでしょうか?
 まあ、そもそも学校の先生の助言が間違っていたという事ですけどね。

 その上、○○年9月24日の抗告から令和2年2月の間としましょう。
 5か月もの間、抗告人さんと抗告人側代理人さんは、親として専門家として、その重大な誤りを修正しようともせず放置し続けております。

 そして、抗告人側と裁判所は、「子の意向の尊重」として、「子供自身の意向の尊重」として、正確な情報を与えられず、一方的な情報で母親に対する憐憫と父親に対する憎悪を掻き立てられている様なお子さん達に、判断だけを委ねるのです。

 ここで言う、「子の意向の尊重」とは、「子供のせいにする」という事です。


五、請願の要旨

 最後に、請願理由が長文になってしまったため、請願の要旨を述べさせていただきます。

本件抗告状 第1 抗告の趣旨
 2(1)にある

「ただし、面会交流の有無については、未成年者らの意向等を最大限尊重するものとする」



「ただし、面会交流の有無については、○○○○及び○○○○の意向を最大限尊重するものとする」

としていただきたい。

 同2(4)にある

「面会交流の具体的日時、場所、方法等については、未成年者らの福祉に慎重に配慮して、その都度当事者間で協議して定める」

「その参加の有無については、未成年者らの意向等を最大限尊重するものとする」



「面会交流の具体的日時、場所、方法等については、その都度、○○○○及び○○○○が○○○○○の都合を考慮して定める」

「その参加の有無については、○○○○及び○○○○の意向を最大限尊重するものとする」

としていただきたい。

加えて、同2(6)に以下の内容を追加していただきたい。

「面会交流の有無、(4)で定めた具体的日時、場所、方法についての連絡は、抗告人とは別に、○○○○及び○○○○が行うものとする。」


以上


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さとう社会問題研究所「請願書」