さとう社会問題研究所は、2013年12月9日、さいたま地方裁判所秩父支部に対し、代表者の名において、以下の内容の請願を行いました。
請願は郵送の形式によって行いました。

また、今回は、会員およびクライアントからも本請願にご協力いただきました。この場で感謝の意を表します。

請願解説:

1、はじめに

本件は、破産手続き開始の決定に伴う、免責許可の申し立て事件です。

本件で免責される債権は、民事訴訟で申立人も認めている通り、以下の事実に基づいて負担されたものです。

一、被害者は、うつの患者で入退院を繰り返していた時期だった事。
二、お金を貸した相手は、うつや男女の関係に乗じ、心理的な圧迫を加えながら、金を無心し続けた事。
三、さまざなま名目で金を借り続け、ほとんどパチンコ代にしていた事。
四、被害者を妊娠させた上、無言の圧力で堕胎させ、 その上、別の女性と結婚し、被害者が堕胎した子どもと同じ年齢の子どもが居る事。

2、今回行った請願の特徴

一、DV関連被害者からDV加害者に対する直接の弾劾でもあること。

さとう社会問題研究所では、DVおよびDV防止法によるあらゆる被害をDV関連被害と定義し、『DV関連被害対策要綱』を定め、DV関連被害の解決に取り組んでいます。
その対策上、最大の主軸は、精神的DVおよびモラルハラスメントの防止のため、社会的な教育や啓発活動です。

今回、請願をしてくださったDV関連被害者の方は、当研究所のハラスメント防止教育の事実上の受講生第一号に当たります。

ご自身が、でっち上げDV、DV冤罪、連れ去り引き離し(DV関連被害)の境遇にありながら、DVについて積極的に学んでくださった事により、この請願を提案する事ができました。

二、同一の請願である意義

先の通り、今回の請願では、精神疾患の患者でありDV被害者でもある女性とでっち上げDV、DV冤罪、連れ去り引き離し被害者(DV関連被害者)の男性が、当研究所の請願の趣旨に賛同し、まったく同一の請願書を提出しました。
これは、以下の事実を示しています。

1、この請願は、DV関連被害者による精神疾患の患者およびDV被害者に対する支援行動である。
2、本来、DV加害者と対立しているDV被害者が、この免責により、DV関連被害者に対する更なる理不尽の拡大と許容への懸念を表明している。
3、DV関連被害者が、本来、その活動による利害の一致点が極めて多いDV加害者を強く弾劾している。

そのため、この請願は、DV被害者とDV関連被害者の社会的利益の一致だけではなく、DV関連被害者とDV加害者との完全なる分離を鮮明にした珍しい事例です。


請願書
(注:当事者の方は個人的な知り合いですが、請願は個人的に行ったもので、ご本人にもお知らせしておりません。そのため、事件の特定につながる情報、当事者の個人情報に該当する部分は表示しておりません)

誓願事件:平成○年(フ)第○号破産手続開始・免責許可申立事件

請願事項:  さいたま地方裁判所秩父支部に対し、本請願事件(以下、本件)について、(精神疾患の患者およびDV被害者の立場から、)○○○さんが提出した、免責異議申し立てに基づき、免責不許可の決定をする事を強く希望いたします。

請願理由:
本件で免責申し立て対象の債務は、申立人が、○○○さんが精神疾患であること、および、○○○さんとの男女の関係であることを利用した借り入れである。
その借り入れの手法は、うつによる希死念慮や不安状態にある○○○さんに対し、死や関係の途絶、および、それにより債務の返済が不能になるという、心理的な圧迫である。
 これは、○○○さんの精神疾患に乗じただけではなく、経済的なDVによる借り入れ行為であり、本件免責が認められることは以下の意味を持つ。

一、本件で免責が認められれば、債権者の精神疾患に乗じて負担させた金銭が正当な借り入れとして免責されることを意味する。

精神疾患に乗じた、心理的な圧迫による借り入れ行為が免責されるため、精神疾患の当事者は、疾患やその背景となった心理的な外傷、未だ社会に根付く患者に対する偏見だけではなく、司法の手により、経済的な二次被害を受けることになる。

二、本件で免責が認められれば、債権者に対するDVで負担させた金銭が、正当な借り入れとして免責されることを意味する。

暴力によらずとも、心理的な圧迫による借り入れ行為が免責されるものであり、経済的なDVの被害者は、男女の関係においてDV被害を受けるだけではなく、司法の手により、経済的DVの二次被害を受けることになる。

三、本件で免責が認められれば、真のDV加害者が司法の手で経済的利益を与えられることを意味する。

請願理由二、の通り、本件は、男女の関係に乗じた借り入れであり、経済的なDVとしての側面を有している。
 DVには、無知や誤った認識に基づく偏見が根強い。さらに、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(以下、DV防止法)には、一方の当事者が、自らの有利を目的とし、虚偽のDV事実に基づく支援措置の申請をする事例、および、一部のDV被害の支援者を名乗る者達が、DV支援を名目にしたビジネス、いわゆるDVビジネスとして、DV防止法の悪用を推奨している事例がある。また、こうした事例に巻き込まれ、行政や司法により人権侵害や社会的排除を受けていると訴える者(以下、DV関連被害者)が後を絶たない。
 DV防止法の悪用は、DV被害の存在に疑義が呈される原因にもなっていて、配偶者間暴力の本質的な問題解決を妨げている。
本件で免責が認められれば、請願理由二、の通り、DV被害者が経済的DVの二次被害を受けることで、DV関連被害者に対する社会的排除や人権侵害が、さらに顧みられなくなる三次被害を受けることになる。

以上の理由から、本件は、申立人が、自らの人生の過ちの責任から逃れようとしただけの極めて身勝手で無責任な申し立てに過ぎない。
本件で免責申し立て対象となっている債務は、その全額を返済する事で、初めて、その生活の再建につながるものである。
申立人には、自らの性的欲望を満たすため、○○○さんに堕胎させた子どもと同年齢の子どもがいる。その子どもの教育上も、免責は認めるべきではない。


以上


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さとう社会問題研究所「請願書」