さとう社会研究所・さとう心理コンサルティングは、2024年2月7日、○○地方裁判所、法務大臣、最高裁判所事務総局に対し、以下の内容の請願を行いました。
請願は郵送の形式によって行いました。

請願解説:

4年ぶりの請願の公開となります。

今回は、刑事事件に対する初の請願書です。

依頼者である被告人の方から「自分はクレプトマニアである」と初めてお知らせいただきました。

クレプトマニア、窃盗症とは、古くは盗癖と呼ばれており、近年の社会の取り組みには関心がありました。

ただ、クレプトマニアは依存症と近い衝動抑制障害であるとは考えられているものの、治療法などは確立しておりません。

間違いなく分かっている事は、「治療しないと治らない」という事です。これは依存症全般に共通している事でもあります。

また、請願内でも述べておりますが、窃盗罪には知的障碍や高齢化など、社会的境遇の影響も強い犯罪でもあり、再犯率が他の犯罪と比べて明らかに高くなっております。

加えて、現在の刑法には治療的観点が皆無であり、病気や障害に起因する行為は本当に罰するだけで良いのか?という疑問もあります。

クライアントからは「裁判にも治療にも役立つ何かが欲しい」と頼まれたため、本件への個別の請願と共に、同じ苦しみを抱える方たちへの刑事政策に対する政策提言として執筆提出しました。

以上の内容を踏まえた内容となっております。


請願書
(注:事件の特定につながる情報、当事者の個人情報に該当する部分は表示しておりません)


請願事項

 私、さとうかずやは、日本国憲法第16条と請願法に基づき、以下の請願を行います。

1、○○地方裁判所令和○年(○)第○号事件について、以下の内容を考慮していただき、○○○さんへの刑の執行を再度、猶予していただける様、お願い申し上げます

・○○○さんが現在、クレプトマニアの治療に入っている事
・本件が法律上も再度の執行猶予とする事が可能である事

刑法第25条第2項から「前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者が一年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。」

2、法務大臣に対し、薬物その他依存に起因する犯罪行為について、再犯防止の観点から、執行猶予に関して定めた刑法第四章に「治療のための執行猶予」「治療を義務付ける執行猶予」の追加など、治療的観点に基づいた改正をしていただける様、お願い申し上げます

3、最高裁判所以下、すべての裁判所に対し、依存に起因する犯罪行為を行った方が、治療中または治療に入った事が確認できた場合、その刑の執行について、治療を優先するため、刑の執行を猶予していただく事を判断の原則として頂ける様、お願い申し上げます

請願理由

1、本請願の経緯と主旨

【個人情報該当部のため省略】
20○○年○月○日、○○さんから事件とご自身がクレプトマニアであるというお話を初めて知らされ、臨床心理学専攻者として、クレプトマニアの治療への協力を求められました。
その後、同年○月○日、裁判所にて第1回公判が始まるともご連絡いただき、法学専攻者としてご自分と同じ苦しみを持つ方への協力も求められました。
よって、本請願を最高裁判所と法務省に提出し、同時に、○○地方裁判所令和○年(○)第○号事件にも提出いたします。

本件は○○○さんによる窃盗事件です。その背後に依存、クレプトマニアが存在していると考えられます。
しかしながら、この問題は○○さん個人だけのものではありません。○○さんと同じ苦しみを抱えていらっしゃる方は大勢いらっしゃいます。クレプトマニアの詳細については専門の医師から説明あると思いますが、依存症の一種と考えられております。
わたくし自身、母をアルコール依存で亡くしており、依存の恐ろしさは身に染みて存じ上げているつもりです。
また、近年の報道によると、窃盗は社会の中に身の置き場のない知的障碍や高齢の方が、安定した生活場所を求めるための手段としても用いられていると指摘されております。
あえて法を犯し、何度も刑務所への出入りを繰り返していらっしゃるとの事。法学専攻者としては、罪を犯した者が罰を受ける事は当然だという事は重々、理解できているつもりです。
しかしながら、こういう方たちを窃盗犯、単なる犯罪者として刑務所に入れ、時間が過ぎれば社会に放逐する。それだけで本当に良いのか。この点をお考えいただきたいのです。

本請願は、ただ友人として○○○さんに対する寛大な処分を求めるものではありません。 多くのクレプトマニアや依存に苦しむ方への医療的、社会的支援、その先にある社会的利益につなげていただける様、お願い申し上げます。

2、○○○さんとの出会いとご相談の経過

【個人情報や事件の特定につながる情報のため要約】
「○○さんはクライアントでもある10年程度のお付き合いのある方です。
少し間が開いたものの、関係性は続いており、昨年もカウンセリングを行っていた。
ただ、その時も含め、クレプトマニアであるというお話は一度もうかがった事はない。」

以上の通り、わたくしが心理コンサルティングとして行っているメールでのやり取りの中では、一度も本件と直接関係ある様な話をした事がありませんでした。

20○○年○月○日、○○さんからご連絡いただき、本件と共に、初めてクレプトマニアであったことなどをお知らせいただきました。

3、クレプトマニアと依存について

クレプトマニアや依存に関する詳細は、公判では医師から説明あるかと思いますが、本請願にあたり、筆者からも簡単に述べておきたいと思います。

クレプトマニアとは、窃盗症とも呼ばれる衝動抑制障害であり、窃盗と言う行為そのものが目的となるものです。結果的に経済的利得を受けているのかも知れませんが、経済的利益を主目的とはしておらず、たとえば、前述の様な経済的困窮が原因での窃盗ではない場合も多い。
ギャンブル依存の原因となる様な射幸心、勝負における興奮や勝てた時の満足感などを思い浮かべていただければ、クレプトマニアの患者による窃盗行為時の感覚に少しは近いかと思います。

依存の方の場合、衝動性や行動抑制への問題で、それが止まらなくなってしまう、と説明されます。
そのため、クレプトマニアの患者による窃盗を依存による病的行動と捉え、依存に対する治療の専門的見地から取り組んでおられる、それが今回、○○○さんが受診した西山クリニックです。

○○○さんのクレプトマニアとしての症状は非常に特徴的なものです。○○さんによると、「6、7年前には窃盗症を発症していた可能性があり、盗んでいた物は全て子供用品であった」との事。
わたくしは、この症状には心理的に明確な意味があると考えております。ただ、わたくしの方から○○さんに詳細をお伝えすることはありません。
この説明は医師がなさるべきものです。わたくしからお伝えしてしまうと、○○さんにとっては治療の妨げになると考えられます。
そもそも、法学専攻者として、犯罪行為を正当化する理由を与える訳には参りません。

依存の方は他人だけではなく自分自身に対しても言い訳をして行為を続けてしまいます。わたくしの母は、生前、酒の事を「命の水」と呼んでおりました。
これは、心の弱さ、意志の弱さという次元のものではありません。妄執と言っても差し支えない。
この言い訳自体が治療すべき依存の症状であり、依存自体が治療を許さぬ様、患者の思考や行動を支配し続けるという意味でもあります。

しかしながら、他者の目に映る依存の症状とは、ただの言い訳にしか映らない。酒は飲まなければ良い話であり、盗みや薬は違法であり犯罪者だから許されてはならない。これが他者の目に映る依存の患者です。

依存の恐ろしさとは、本人の意思では制御不可能な所にある症状が、他人にとっては目に見える症状、行動として顕れてしまう所にあります。自分自身の健康を蝕むこと以上に、行動化されるトラブルにより周囲の理解を妨げ孤立させてしまう事にあります。
その結果、家庭では放置され、社会では分断・隔離され、支援からは零れ落ちてしまう事にあります。

自分の意思と行動で制御できるのなら、それは依存ではありません。
その上で、病気や障害であることを知りながら罰を与えるという事は、病気や障害そのものを罰すると同じではないか、とも考えております。
認知症や知的障害など既に対応されている病気や障害はありますが、刑法には「治療」という法文は存在しておりません。依存など、罰や更生では治療や改善が望めないものについては放置されている状態です。この点を考慮に入れていただきたいのです。

4、○○○さんは現在、クレプトマニアの治療に専念する意思が高まっている状態にあると考えられる事

これまで述べてきた通り、クレプトマニアによる窃盗は刑務所で生活することで改善、治療されるものではありません。

刑期を終えて出所したところ、その当日に万引きを働き、数日後には逮捕されて刑務所に戻る。それがクレプトマニアです。これは、○○○さんも例外ではないでしょう。
しかしながら、現在の○○さんは、ご自身の状況を強く認識できている状態です。遅きに失した感こそ否めませんが、依存の方にとって自覚と治療動機とは、それだけ得難いものであるという事でもあります。

20○○年○月○日、治療への支援の要請を受けた際、初めて、○○さんがクレプトマニアである事をお話しいただけました。10年もの間、支援者として関わっておりましたが、20○○年○月のご相談でも、○○さんは言葉にできませんでした。
○○さんが執行猶予中の状態で、後述する社会復帰のための行動のご準備の中、それでも行為に及んでしまったという事なのでしょう。これがクレプトマニアの恐ろしさです。
こう書くと「10年もの相談支援関係にあっても知らされなかった」と捉える方が多いかも知れませんが、これは明らかな間違いです。これは、「10年もの信頼関係があっても言葉にできないほど苦しんでいた」と捉えるべきものです。
問題解決の考え方では言葉にできて他者に伝えられるのなら8割が解決している、などと言われます。
しかしながら、心理臨床では、言葉にできて他者に伝えられて、初めて治療の入り口に立ったと言える状態です。特に、依存の場合はこの側面が強い。治療を困難にする症状である否認の強さに加え、薬物や窃盗の如き犯罪、ギャンブル、借金、過食や拒食などは、気軽に言葉できるものではありません。
○○さんが最後まで、クレプトマニアについて、誰にも相談できず、もしかしたら、本当の意味で、わたくしが最初に話した相手ではなかったのか。

自分が窃盗症だと認められる訳がない。言葉にしてしまうと認めてしまう事になる。
だから、隠れて自分で治そうと考える。でも、そんな事できる訳がない。そんな自分に嫌悪して苦しみ続ける。
これが自覚ある依存の方の苦しみです。

20○○年○月のご相談はクレプトマニアからの最終警告であったと理解しております。わたくしが法学専攻者であることも大きかったのでしょう。○○さんは、ここでも言葉にできなかった。
○○さんが精神的に不調だという事もあり、○月以降も定期的にお話しした方が良いと考え、○月○日にも連絡を入れておりました。
その半月ほど後、○○さんは執行猶予中の身で本件に及んでしまったとの事でした。

これは動かしようもない事実であり、○○さんもお認めになった上、反省と治療の意思を行動で示すため、依存の治療を専門とする西山クリニックを受診なさったとうかがっております。
20○○年○月○日、○○さんから事件と本気で治療に取り組まなければならないと、裁判、治療、両面での協力を求められました。つまり、治療動機が高く、自分との闘いという側面が極めて強い依存の治療に取り組もうとなさっている状態です。
もし、○○さんが刑務所に入る事でクレプトマニアの治療がなされるという事でしたら、再犯防止と言う意味でも宜しいかと思います。しかしながら、罰で治せる病気や障害はありません。だから医師がおります。

依存に限らず、あらゆる治療には患者の治癒へのモチベーションが最も重要です。その上で、医療の技術や家族や周囲の理解があって、初めて治療に繋がります。
それでも治療できるとは限らず、患者は何度でも失敗を繰り返し、周囲の理解と支えで立ち直り、治療に挑み続けます。
医療の技術を有しているのは医師だけであり、家族や周囲の理解は社会の中にしかありません。仮に治療環境のない刑務所で隔離をしてしまえば、再び、自分の力だけで依存に取り組まなければならなくなる。

未だ社会では病気や障害を犯罪の類。体罰や人格非難の罵詈雑言、自己責任の心掛けで着け外しが簡単なパーツの類だと理解している方が未だ多い事も危惧しております。

5、○○○さんは、治療に専念するに最適な環境にあると思われる事

わたくしが、もう一点、○○○さんは社会の中で治療に当たった方が良いと考えている理由は、○○さんの社会貢献への志が高く、ご自身にも商才があるという点です。
【個人情報や事件の特定につながる情報のため要約】「○○さんによると、社会貢献活動を含めた色々なお仕事を始める準備中のみであったとの事」

元より、○○さんはご自身の境遇もあり、障碍者や苦しむ方への支援を個人的に行っている方でもありました。わたくしとのご相談関係も、わたくしが専門家であると同時に、虐待被害者、機能不全家族の生き残りであるという事が大きかったとうかがった事がありました。

もちろん、それで犯した罪が許されるべきである、という話ではありません。経済的な観点から、○○○さんを刑務所の中で税金で養うのと、社会の中でご自身の費用で治療を受けていただく、どちらが社会経済的観点から有益なのかを考慮していただきたいのです。
障害や社会環境の影響など、ご自分で生活費や治療費を得られない方が多くいらっしゃる中、○○さんは、そういう点ではご不便はありません。今回の罪も貧困を理由としたものでもなく、クレプトマニアでなければあろうはずもない出来事でした。

だから、罪を見過ごせという暴論ではありません。○○さんは、ご自身の商才や社会貢献を通じ、多くの方と肯定的なつながりがお有りの方です。
あらゆる疾患は初期対応が最重視されます。今でも遅すぎるくらいではありますが、○○さんは、ようやく治療の入り口に立つことができました。
それをわざわざ中断し、出所後に再び罪を犯すリスクを知りながら放置するよりは、裁判所と捜査機関の監視の中、今ある治療へのモチベーションを最大限に活用し、ご自身の経済力で立ち直っていただいた方が、あらゆる面で社会的負担の軽減につながるのではないかと考えております。
加えて、わたくしが最も恐れているのは、○○○さんがこの悪循環を受け入れ、慣れてしまう事です。せっかくの治療を諦めてしまう事。罪を犯し、裁判を受け、刑務所に入る事に慣れてしまう事です。

再犯防止白書令和5年版の25頁から、
「なお、いずれの出所年においても、満期釈放者※5の2年以内再入率は、仮釈放者のそれよりも高く、2021年(令和3年)は、仮釈放者の2年以内再入率が9.3%であるのに対し、満期釈放者の2年以内再入率は21.6%であった。」

と、満期釈放者の再入率の高さが指摘されておりますが、当然、窃盗の満期釈放者が最も再入率の高さに貢献していることになります。

これは、窃盗犯は刑務所に入る度、罪を犯し刑務所に入る事に慣れていく、という事でもあります。
それは特殊な例であり、多くの場合そうはならないと反論することは可能でしょう。しかしながら、その特殊な事例は発生しており、「満期釈放者の2年以内再入率は21.6%」という犯罪防止白書の記述に繋がっている。

何としても、○○○さんには社会貢献を続けながらクレプトマニアの治療を受けていただき、再び罪を犯さぬ様、立ち直っていただきたいと思います。

6、窃盗罪の再犯防止として刑事手続きの中に罰や更生に加え治療と言う観点を加える必要性

法務省の令和5年版の『再犯防止白書』の23頁から25頁の記述によると、刑法犯の中でも窃盗罪は件数が最多。2年以内再入率も19.8%と、他の犯罪に比べても明らかに再犯率が高いとの事。

このデータから、窃盗の再犯率は20%程度、窃盗犯の8割が刑務所での生活を通じ、再犯をしないと読む事もできます。現に、白書の中では再犯率の低下に注目し、閣議決定の目標を達成できたとあります。
しかしながら、窃盗や薬物などは、殺人や傷害に比べ被害が露見しにくい犯罪でもあり、潜在的な再犯率は更に高いと考えるべきです。
更に、性犯罪の2年以内再入率の8.2%と比べても2倍以上、全ての犯罪に於ける再入率14.1%と比べても他の犯罪よりも格段に高い。

これから、「窃盗罪の再犯率の高さは、2年以内再入率を高めることに寄与している」という事ができます。
この状況に於いて必要な事は、窃盗罪の再犯率を根本的な所から引き下げることです。そのため、窃盗罪を「ただの盗み・犯罪行為」として一律に捉える所から視点を変える必要があります。

その一つとして、刑事手続きの中に罰や更生に加え、治療と言う観点を加える必要があると考えております。本請願の主旨の一つです。
近年の報道によると、窃盗事件の特徴として、知的障害や社会的境遇などが原因で、故意に再犯と入所を繰り返している方も多いとの事。こういう方にとって、窃盗と言う犯罪行為は、刑務所と言う安住の地に戻るための方法として存在している。
我々にとって犯罪行為であるものが、社会に見捨てられた方たちにとっては、公共サービスを受けるための手段として機能している。こういう方たちにとって刑法第38条にある「違法性の意識」とは、「公共サービスの利用申し込み」と同義です。
この点を無視して「犯罪者」と言う言葉で十把一絡げにし、「罪あれば裁き、悪あれば斬る」の精神で、刑務所で罰だけ与えて社会に放り出す。もちろん、出所と言って放り出された方たちは、再度の公共サービスを利用のため、犯罪行為に手を染める。

それを被害者面で再び刑務所に投げ込んでいる。この悪循環を止めるべきであると、筆者は考えております。

7、クレプトマニアを治療する必要性。病的行動は罰で治まるものではない
クレプトマニアについての精神医学的説明は医師が行うと思われますので、ここでは一般的な病的行動から、改めて筆者の考えを述べたいと思います。

わたくしの母はアルコール依存が原因で亡くなりました。
母は死ぬまで依存を認めず、治療につながる事もなく、体調が悪くなったと病院に行き、翌日に亡くなるまで酒を飲み続けていました。

クレプトマニアの存在すら知らず、全く治療を受けてこなかった方が、出所した当日から盗みを働き始め、数日で刑務所に戻る事になったというも報道されていた事例は、近年の芸能人による薬物事件でも同様のものがありました。

そういう意味でも、クレプトマニアが引き起こす窃盗とは、薬物とは違うものの、強い依存が引き起こす病的行動と捉えるべきだと言えるでしょう。
患者を支配し死ぬまで続ける病的行動、それが依存です。依存に対する否認や執着は、恐ろしく強力なもので、刑務所に入って治るものならば、○○○さんもそれで良いかも知れません。

ただ、先に述べた再犯防止白書の通り、理由は別として窃盗犯の2割は2年以内に刑務所に戻ってくる。
この方たちの窃盗行為は現在の刑務所の機能では、何回、何年かけても治療、改善される事はありません。出所した日に再び依存行動としての窃盗を行い、事件化されていないだけの方はさらに多いと考えるべきでしょう。
それに加え、経済的困窮から生活の場としての刑務所に行くための手段として窃盗を行う方もいらっしゃいます。

対して、○○○さんは、本件を通じ、ようやくではありますが、クレプトマニアの治療動機を得られております。
また、これまで通り、その商才と社会貢献への志は損なわれておらず、ご自身で治療環境を整えることができております。社会的危険性の観点からも、そもそも経済的困窮とは無縁の方で、クレプトマニアでさえなければ、窃盗を働く必要がない方です。

今、○○○さんに必要なのは、依存の自覚と本件で得られた回復したいというご意志を最大限に活かしていただく事だと考えます。

最後に、社会の発展の結果、窃盗犯と呼ばれる方には、刑法が想定する経済的利得を目的とした者だけではなくなっているという事を踏まえ、法務大臣には改めて、窃盗に対する刑事政策の変更をしていただく事をお願いいたします。
また、最高裁判所以下すべての裁判所にも、治療的観点を踏まえた判断をしていただく様お願いいたします。

同様に、○○地方裁判所令和○年(○)第○号事件に於いても、○○○さんには治療に専念していただける様、再度の執行猶予としていただく様お願いし、本請願を終えます。


以上


さとうかずや(さとう社会・心理研究所) 無断使用は禁止です。


さとう社会・心理研究所「請願書」